減圧蒸留装置
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減圧蒸留装置(げんあつじょうりゅうそうち)は石油精製装置の一種で、常圧蒸留装置から得られた常圧残油を大気圧より低い圧力で蒸留分離するものである。真空蒸留装置、バキュームなどとも呼ばれる。
高沸点の石油系炭化水素は350-400℃以上の温度で熱分解するので、沸点が350℃以上の留分を大気圧下で蒸留分離するのは現実的ではない。そこで蒸留塔の運転圧力を低くすることによって沸点を下げ、熱分解を起こすことなく高沸点留分を蒸留分離するのが減圧蒸留装置の目的である。
[編集] 原料
減圧蒸留装置は常圧蒸留装置の主蒸留塔の塔底から得られる常圧残油を処理する。常圧残油は沸点が約350℃以上の炭化水素を成分とする重油の一種である。
[編集] 製品
減圧蒸留装置から得られる製品には以下のものがある。
- 減圧軽油
- 沸点範囲が350-550℃程度の炭化水素からなり、英語のVacuum Gas OilからVGOとも呼ばれる。このうち沸点が約450℃以下のものを軽質減圧軽油、約450℃以上のものを重質減圧軽油と言う。名称に軽油の語が入っているが重油の一種である。重油、潤滑油の原料として使用される。
- 減圧残油(減圧残渣油)
- 沸点が約550℃以上の炭化水素からなり、重油、アスファルトの原料として使用される。
これらの製品はそのまま重油の混合原料として使用されることもあるが、大気汚染低減などの理由から水素化脱硫処理を行うことが一般的になってきている。
[編集] 装置の構成
減圧蒸留装置の中心となる蒸留塔を減圧蒸留塔という。原油全体を処理する常圧蒸留装置より処理量が小さいにもかかわらず蒸留塔の塔径はむしろ大きく、見た目がずんぐりしている。これは圧力が低いために内部の気体の体積が大きくなるためである。内部には棚段(トレイ)あるいは蒸留用充填物(パッキング)が設置されている。主蒸留塔の底部に水蒸気を導入して水蒸気蒸留とすることもある。蒸留塔の中間部から減圧軽油、塔底部から減圧残油が抜き出される。
主要な付帯設備として、系内のガスを排出する水蒸気駆動エジェクタ、原料油を加熱して蒸留に必要な熱エネルギーを与える加熱炉などがある。