核小体
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核小体(かくしょうたい)とは、核の中に存在する密度の高い領域のことで、一般に光学顕微鏡で観察できる。仁とも言われる。
rRNAの転写やリボソームの構築が行われる場所だが、生体膜によって明確に区分される構造ではない。
細胞周期の進行する中で核分裂中期から後期には消失し、rDNAからの転写とともに再形成される。
電子顕微鏡の観察では内部にいくつか存在する繊維状中心部、その周辺の繊維状部、その他全体の顆粒部の三層構造が認められ、RNAの転写とプロセシングは中央二層の領域で行われると考えられているが詳細については議論が残る。
rDNAからRNAポリメラーゼIによって転写されたrRNA前駆体はsnoRNA等の働きによりプロセシングを受け18S、5.8S、28S(高等動物の場合)のrRNAとなる。
真核生物の rRNAはこれにRNAポリメラーゼIIIによって転写された5S RNAを加えた物。rRNAにリボソーム蛋白質が会合して形成されたリボソームは核膜孔を経て細胞質に運ばれ翻訳装置として機能する。近年核細胞質間の輸送において核小体の機能が注目されている。
ガードンのアフリカツメガエルの未受精卵への小腸上皮細胞由来の核の移植実験で、由来核の特定の証明に使われた。核小体の数は遺伝的に決まっているため、核小体の数の異なる核を用いて実験を行えば、どちらの核に由来する細胞であるかを特定できる。なお、核小体が0個の形質は致死形質である。