東宮武官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
東宮武官（とうぐうぶかん）は、東宮武官官制(明治22年勅令第138号)によって制定された、宮中並びに陸海軍の官職。東宮即ち皇太子の軍務につき常侍奉仕した。当初の規定では陸軍のみから選ばれ佐官1名尉官3名で構成された。明治24年6月の官制改正で将官から任用される東宮武官長が新設され、明治30年10月の改正で初めて海軍武官による東宮武官が定められた。明治31年、明治43年の改正を経た東宮武官の構成は、武官長1名、陸軍からの武官5名と海軍からの武官3名の他、陸軍軍属2名、海軍軍属1名。任用される武官は陸海軍ともに大尉以上中将までで、参謀である者とされた。皇太子裕仁親王即位にあたり東宮武官は廃止された。
目次 |
[編集] 東宮武官歴任者
[編集] 東宮武官長
※階級は就任時。以下各武官も同じ。 ※武官長は全て陸軍武官
- 奥保鞏少将：明治24年6月23日 - 明治26年11月10日
- 黒川通軌中将：明治26年11月10日 - 明治30年11月21日
- 黒田久孝中将：明治30年11月21日 - 明治33年12月5日(在職中に死去)
- 村木雅美少将：明治34年2月9日 - 大正元年12月17日
- 山根一貫大佐：大正元年12月17日 - 大正6年8月2日(在職中に死去。男爵。山根信成陸軍少将の子。)
- 小川賢之助少将：大正6年9月25日 - 大正9年6月19日(在職中に死去)
- 奈良武次中将：大正9年7月16日 - 大正11年11月24日
- 奈良武次中将：大正11年11月24日 - 昭和元年12月25日(兼職。本職は侍従武官長)
[編集] 東宮武官（陸軍）
- 山本清堅中佐：明治20年10月25日 - 明治22年3月28日
- 香曽我部順中尉：明治20年10月25日 - 明治22年11月5日
- 岡崎生三少佐：明治22年11月5日 - 明治24年12月19日（後、陸軍中将男爵）
- 渋谷在明大尉：明治22年11月5日 - 明治24年11月7日（後、陸軍中将）
- 鷹司煕通中尉：明治22年11月5日 - 明治31年10月1日(後に陸軍少将公爵、明治35年から侍従武官。)
- 長瀬良行中尉：明治22年11月5日 - 明治24年1月24日
- 橘周太少尉：明治24年1月24日 - 明治28年11月13日（後に陸軍中佐）
- 中村覚少佐：明治24年12月19日 - 明治29年10月29日（後に陸軍大将。明治27年から侍従武官兼務、明治41年侍従武官長）
- 宮本照明大尉：明治24年12月29日 - 明治28年11月13日（明治33年から侍従武官）
- 鶴見数馬少佐：明治28年11月13日 - 明治31年10月1日
- 名和長憲大尉：明治28年11月13日 - 明治31年6月1日（陸軍中佐男爵）
- 竹内正策大佐：明治29年10月29日 - 明治31年5月19日（後、陸軍少将）
- 村田惇大佐：明治31年5月19日 - 明治32年4月17日（後、陸軍中将）
- 清水谷実英大尉：明治31年 - 明治35年（後、陸軍中佐伯爵。侍従。）
- 川畑平吉少佐：明治32年4月17日 - 明治34年7月28日（在職中に死去）
- 田内三吉大佐：明治35年12月19日 - 明治41年6月（後、陸軍少将。侍従、東宮侍従、宮中顧問官）
- 尾藤知勝少佐：明治37年3月24日 - 明治40年12月2日（後、陸軍中将・独立守備隊司令官）
- 山田陸槌中佐：明治38年4月19日 - 明治42年5月24日（後、陸軍中将・第5師団長）
- 本城幹太郎少佐：明治40年12月2日 - 明治44年11月22日（後、陸軍少将・歩兵第17旅団長）
- 高橋綏次郎中佐：明治42年5月24日 - 明治43年11月30日
- 大内義一中佐：明治43年11月30日 - 大正元年11月27日（後、陸軍少将・歩兵第33旅団長。侍従武官兼務）
- 西義一少佐：明治44年11月22日 - 大正元年11月27日（後、陸軍大将・教育総監。侍従武官兼）
- 壬生基義中佐：大正元年10月3日 - 大正11年8月15日（後、陸軍少将伯爵。大正10年から侍従武官兼務）
- 清水喜重大尉：大正5年1月12日 - 大正8年5月16日（後、陸軍中将）
- 浜田豊城少佐：大正8年4月15日 - 大正14年8月7日（大正10年11月から侍従武官兼務）
- 服部真彦大佐：大正11年8月15日 - 大正14年12月2日（後、陸軍中将・騎兵第4旅団長。侍従武官兼務）
- 蓮沼蕃大佐：大正14年12月2日 - 大正15年12月25日（後、陸軍大将・侍従武官長。）
- 矢野機中佐：大正14年8月7日 - 大正15年12月25日（後、陸軍中将・陸軍歩兵学校長。侍従武官兼務）
[編集] 東宮武官(海軍)
- 武富邦鼎中佐：明治31年6月1日 - 明治34年7月6日（後に海軍中将正四位勲二等功三級）
- 山路一善大尉：明治31年6月1日 - 明治33年9月15日（後に海軍中将功三級）
- 平賀徳太郎大尉：明治33年9月15日 - 明治36年7月7日（後に海軍少将功四級）
- 中村静嘉大佐：明治34年7月6日 - 明治36年12月28日（後に海軍少将功四級）
- 黒水公三郎中佐：明治37年2月3日 - 明治40年12月18日（後に海軍大佐）
- 秋沢芳馬少佐：明治39年2月24日 - 明治42年2月2日（後に海軍少将功四級）
- 千坂智次郎中佐：明治40年12月18日 - 明治44年5月23日（後に海軍中将功四級）
- 田村丕顕大尉：明治42年2月2日 - 明治45年4月20日（後に海軍少将功五級子爵）
- 山岡豊一中佐：明治44年5月23日 - 明治45年6月18日（後に海軍中将功四級）
- 関野謙吉大佐：明治45年4月20日 - 大正元年12月1日（後に海軍中将功四級）
- 宇佐川知義少佐：明治45年6月18日 - 大正6年12月1日（後に海軍少将功四級）
- 山内豊中大尉：大正元年12月1日 - 大正2年12月1日（後に海軍少将。高松宮附武官、高松宮家別当）
- 及川古志郎：大正4年12月1日 - 大正11年12月1日（後に海軍大将功一級）
- 犬塚太郎大佐：大正6年11月22日 - 大正13年2月5日（後に海軍中将）
- 加藤隆義大佐：大正11年12月1日 - 大正14年10月20日（後に海軍大将）
- 近藤信竹中佐：大正13年2月5日 - 大正15年12月1日（侍従武官兼任、後に海軍大将功二級）
- 今村信次郎大佐：大正14年10月20日 - 大正15年12月25日（後に海軍中将功五級。侍従武官、秩父宮別当）
[編集] 関連法令
- 東宮武官官制(明治24年勅令第61号)
- 東宮武官官制(明治30年勅令第371号)
- 明治31年勅令第100号
- 明治43年勅令第213号
- 東宮武官官制廃止ノ件(昭和元年勅令第2号)
[編集] 参考文献
[編集] 関連項目
- 侍従武官
- 元帥副官
