東京都現代美術館
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東京都現代美術館(とうきょうとげんだいびじゅつかん,MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO) は、東京都江東区三好四丁目にある、現代美術専門の公立美術館である。広大な都立木場公園の一郭に、平成7年(1995)に開館した。日本の戦後美術を概観できる、日本国内でも優れたコレクションを持つ。
延床面積33,515m²という日本最大の美術館建築(分館を含めた場合日本2位)で、常設展示室は1階と3階の計10室ある。1階展示室では第二次大戦後まもない時代の不安と混沌を反映した美術から、1970年代まで、約30年間の美術の流れが一通りたどれるようになっている。3階展示室では、現存作家の作品を中心に、現代アートのさまざまな傾向を見ることができる。企画展示室には、巨大化する傾向のある現代美術作品が展示可能な、広大な吹き抜け空間が準備されている。
もっとも最寄の駅からも都心からも遠い立地には批判があり、鈴木都政が大規模公共事業を23区内に均等に配分した弊害ともいえる。石原知事の時代に東京駅からの直行バスを運行させ、また2000年代半ばには現代美術系のギャラリーが隅田川沿いに集まるようになってからは孤立した印象も薄れてきたが、なお美術館の存在の周知徹底や交通の便については課題が残る。
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[編集] 『ヘア・リボンの少女』購入問題
開館前、ロイ・リキテンスタインの作品『ヘア・リボンの少女』を高額(618万ドル、約6億円)で購入することに対してマスコミや都議会で「漫画のような絵を巨額の税金で買うとはどういうことか」という批判の声があり、自治体による現代美術の購入という問題に一石を投じた。この問題には都議会議員の現代美術に対する無知ゆえの的外れな批判という側面もあるが、一方で東京都現代美術館が美術市場の相場より高い値段で作品を買ってしまった税金使途の不透明さも指摘されている。
[編集] 経営の再編
開館当初は意欲的な企画展を数多く実施したものの、次第に集客の弱さと赤字経営が批判されるようになった。石原知事の時代に入り都立の美術館・博物館の経営が問題視され、各館の経営母体が生涯学習文化財団から東京都歴史文化財団へ移されるなど再編されたほか、経営のプロである民間企業の経営者が各館の館長として送り込まれるようになった。
東京都現代美術館には日本テレビから氏家齊一郎氏が館長として送り込まれている。この縁からスタジオジブリ関係の展覧会などが東京都現代美術館で多く開催されるようになり、集客や知名度が増加する便益があったが、これが今後の来客にも繋がるものか、現代美術コレクションや活動と何がどう繋がるのかという批判もあった。その他、多くの学芸員が財団再編に伴い館を離れ、作品の新規購入費は0円になるなど、収集活動も長い間停滞したが、2006年頃から新規購入費が若干復活し、若手作家の比較的安価な作品を中心とした購入が再開されるなどの兆しもある。
[編集] 主な収蔵品
- アンディー・ウォーホル『マリリン・モンロー』(1967年)
- ロイ・リキテンスタイン『ヘア・リボンの少女』(1965年)
[編集] 建築概要
建築家・柳澤孝彦(TAK)の設計。読売新聞で磯崎新に「粗大ゴミ」と評されたが、これには、もっと交通アクセスのよい場所を敷地にすべきだった、という東京都への批判も含まれている。CIは仲條正義が担当。
- 設立― 1995年
- 竣工― 1994年
- 設計― TAK建築・都市計画研究所
- 延床面積― 33,515m²
- 所在地― 東京都江東区三好四丁目1番1号 都立木場公園内
[編集] アクセスなど
- 地下鉄東西線木場駅・都営新宿線菊川駅各徒歩15分
- 都営大江戸線・地下鉄半蔵門線清澄白河駅徒歩13分
- 東京駅丸の内北口より、都営バス東20系統で「東京都現代美術館前」下車すぐ。
- 三ツ目通りに面しているため、車の便が比較的良い。
- 料金:一般が500円、大学生・専門学校生400円、高校生250円。中学生以下は無料。その他各種割引・免除制度あり(2005年6月現在)
[編集] 外部リンク
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