映像信号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
映像信号(えいぞうしんごう)は、映像を電気信号化したものである。主にテレビ技術に使用される。
目次 |
[編集] テレビの信号伝送の仕組と映像信号
テレビはカメラで撮像した動画像を映像信号として記録・加工して無線あるいは有線により遠方まで送る技術である。
動画が高速に連続した静止画で代替できること(*1)はすでに映画の技術により知られているから、テレビを実現するにあたって必要なものは、静止画を連続的に伝送する手法である。
- *1)仮現運動(apparent motion)
まず、カメラではレンズを用いて撮像管あるいは固体撮像素子の受光面に被写体の像を結像させ、光の強弱を電気信号に変換する。この2次元情報である静止画(フレーム)を時間軸上の1次元情報(時間とともに変化する信号の流れ)として送る必要がある。
このため、受光面の平面を左から右へ、上から下まで順次走査することで1次元情報に変換する。すなわち画面を縦方向に細かく分割し、分割した右端を直下の分割部の左端につなげて1本の「紐(ひも)」のような、1次元の信号の流れに変換する。白黒テレビではこの「紐」の各点が被写体の明るさ(輝度)を表現するアナログ量となる。
受信側では、この「紐」を画面の左右を区切りとして一本一本切り離し、もとの順番に並べて1枚の平面状の画面を再構成することになる。 このため、「紐」のどこを切ればよいのか、また1枚1枚の静止画の区切りがどこかを受信側に伝える必要があり、絵の明るさを示す輝度信号のほかに、区切りを示すための目印として同期信号を送ることにしている。同期信号には「紐」の区切りを示す水平同期信号とフレームの区切りを示す垂直同期信号とがある。
この一本一本の「紐」を走査線と呼ぶ。走査線が多いほど縦方向の解像度は向上する。横方向の解像度はアナログ映像信号の場合、伝送帯域幅で制限される(走査線数・フレーム数が一定の場合)。また、毎秒あたりフレーム数が多いほど動く被写体の動きの描写が滑らかになる。言い換えれば時間方向の解像度が向上する。
[編集] 白黒映像信号の構成
日本や北米などで行われていた白黒テレビ放送における映像信号の構成は上記の原理をもとに実用化したものであるが、伝送容量の制限からインターレース方式を採用している。
[編集] インターレース方式
テレビ放送を実用化するにあたり、伝送可能な帯域を考慮して走査線数と毎秒フレーム数を決める必要がある。白黒テレビ放送の開始時に実現可能だった約4MHz程度の帯域では、必要な解像度(ブラウン管の画面サイズと視聴距離からきまる)から走査線本数をきめると、伝送可能な毎秒あたりのフレーム数が不足した。このため、人間の目の残像特性を利用した飛び越し走査(2:1インターレース)方式を採用した。これは、1フレームを奇数フィールドと偶数フィールドに分け、それぞれ1本おきに走査して毎秒60フィールドを伝送するものである。なお欧州ではこれとは若干異なる数値を用いたが、基本的な考え方は変わらない。
これに対し、飛び越し走査を行わない方式を順次走査(プログレッシブ走査)方式と呼ぶ。
インターレース方式の場合、合計した走査線数が同じプログレッシブ方式にくらべ垂直解像度は低下して見える。この低下の比率をケルファクタ(Kell factor)と呼び、NTSC方式の場合、有効走査線本数485本程度に対し見かけ上の垂直解像度は約330本程度といわれる。
[編集] 複合同期信号
実際のテレビ信号の伝送では、輝度信号と水平・垂直の同期信号を合成した「複合映像信号」として、1本の伝送線路で送るようにしている。 このため、受信側では複合映像信号を復調後、さらに水平・垂直の同期信号を取り出す同期分離機能が必要になる。
[編集] 有効表示区間と帰線区間
画面を走査するさいに、電子線を画面の右から左(水平)、または下から上(垂直)に移動して走査を繰り返す必要がある。電子線の移動には一定の時間を要するので、水平・垂直とも表示できない期間が生ずる。これをそれぞれ水平帰線区間、垂直帰線区間という。 この期間を除いた表示可能な領域をアクティブビデオといい、垂直方向については表示される走査線本数を有効走査線本数と呼ぶ。
垂直帰線区間においては、垂直同期信号と水平同期信号が重畳されるため、切り込みパルス(セレーションパルス)を、またインターレースを行うため奇遇フィールドで垂直同期パルスの積分波形のタイミングを補償するための等化パルスの挿入などの工夫がされている。
- (詳細は図面で説明の必要あり)
[編集] NTSC(National Television System Committee)白黒テレビの主な仕様
- 伝送フレーム数:30フレーム/秒
- 2:1インターレース
- 走査線総数:525本
- 有効走査線本数:約485本
- 解像度:垂直は約330本、水平解像度は約350TV本
- 映像信号極性:
- ベースバンドでは正極性(信号の振幅が増加すると輝度が増加する。白が最高レベルで黒が最低レベル)
- 放送波では振幅雑音の影響を軽減するため、負極性に反転して振幅変調する。
- 水平同期信号:15.75kHz (=525*30)個/秒のパルスで、1本の走査線毎の同期を示す
- 垂直同期信号:60Hz毎秒でフィールド毎の同期を示す
- 音声信号:ベースバンドでは映像信号とは独立。放送波では映像搬送波から4.5MHz高い周波数にオフセットした音声搬送波を周波数変調している。
[編集] NTSCカラーテレビジョン信号の構成
カラーテレビジョン信号方式の一つであるNTSC方式は北米と日本、台湾などで用いられている。アスペクト比は、4対3である。NTSC方式の走査線は、525本(有効走査線は、480本)なので、ドットに換算すれば、640×480ドット(VGA相当)になる。
- 伝送フレーム数:29.97フレーム/秒
- 2:1インターレース
- 水平同期信号:15.734264kHz
- 垂直同期信号:59.97Hz
- 輝度信号帯域:約6MHz
- 色搬送波信号帯域:約3MHz
- 水平解像度:約500TV本(最大)
同期周波数は白黒より僅かに低く設定されている。
このNTSCカラーテレビジョン信号の伝送方法としては、
- コンポーネント映像信号
- S映像信号(Y/C分離)
- コンポジット映像信号(Y/C混合)
の3種類があるが、コンポジット映像信号の事を、単に「NTSC」と呼ぶ場合もある。 また、NTSCカラーテレビジョン信号をD端子を使って伝送する場合は、D1映像信号(インターレース)として伝送される。
※DVDレコーダー(NTSC方式)では、映像信号を、720×480ドットで記録・再生する。
- 書きかけなので、とりあえず下記を参照されたい。