日本語論
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日本語論(にほんごろん)とは、日本語の歴史・特性・文化などに関する論考をいう。 大きく分けて、日本語それ自体の起源や構造・変遷について論じるものと、日本語と外国語(ひいては、日本人・日本文化と外国人・外国文化)を比較してその異同を論じるものとがある。
後者は、日本語は他の言語とは異なり、いくつかの日本語にしかない特有点を持ち、世界の言語の中ではユニークかつ難解な存在であるといった論旨であることが多く、しばしば「日本語特殊論」の様相を呈する。 このような論は、以下のような理由により、一見説得力があるように受け止められやすい。
- 日本語は琉球語(方言か言語かは、未だ議論が続いている)以外の言語との類縁関係が立証されていない孤立した言語である。
- 日本語はひらがな・カタカナ・漢字という3種類もの文字体系を用いる。
- 日本人になじみの深い英語をはじめとするヨーロッパ諸言語は、互いに類似しているが、日本語とは著しく異なっている。
- 多くの日本人がそれら外国語の習得に苦労している。
しかし、言語学的には、日本語は他の言語と同じく、一定の規則に従い、他の言語との共通点が少なからずある。
このように、日本語がユニークな言語であるという主張に対して専門家の見解はおおむね否定的である(ただし、日本語の表記体系は世界有数の複雑さである)。
[編集] 関連著作
- 大野晋『日本語の文法を考える』岩波新書 1978年 ISBN 4-00-420053-9