旅籠
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旅籠(はたご)という言葉はもともとは旅の時、馬の飼料を入れる籠(かご)のことであった。それが、旅人の食糧等を入れる器の意味になり、さらに食事を提供する宿屋を言うようになった。
江戸時代の街道には宿場ごとに多くの旅籠があって武士や一般庶民の泊まり客で賑わった。次第に接客用の飯盛女を置く飯盛旅籠と、飯盛女を置かない平旅籠に別れていった。しかし、明治時代になって旧街道が廃れ、鉄道網が発達してくると、徒歩や牛馬による交通が減少し、旅籠も廃業に追い込まれたり、駅前に移転するところが相次ぐようになった。現在でも、旧宿場町の同じ場所で昔のままに旅館を営んでいるものは数えるほどしかない。
混雑時には相部屋が求められ、女性の旅客は難儀をしたとされる。
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[編集] 旅籠の分類
- 規模によるもの(宿場によって異なるがだいたい間口によって区分された)
- 大旅籠
- 中旅籠
- 小旅籠
- 業態によるもの(飯盛女の有無による区分)
- 平旅籠
- 飯盛旅籠(食売旅籠ともいう)
[編集] 現存し宿泊できる旅籠
以下の旅籠が昔の街道の宿場に現存し、営業を続けていて宿泊することができる。
- 東海道赤坂宿旅籠「大橋屋」 (愛知県宝飯郡音羽町)
- 中山道芦田宿旅籠「土屋」<金丸土屋旅館> (長野県北佐久郡立科町)
- 中山道奈良井宿旅籠「越後屋」 (長野県塩尻市)
- 中山道薮原宿旅籠「米屋」 (長野県木曽郡木祖村)
- 中山道妻籠宿旅籠「松代屋」 (長野県木曽郡南木曽町)
- 中山道細久手宿旅籠「大黒屋」 (岐阜県瑞浪市)
- 中山道垂井宿旅籠「亀丸屋」 (岐阜県不破郡垂井町)
[編集] 現存し公開されている旧旅籠
以下の旧旅籠が昔の街道の宿場に現存し、宿泊はできないが、一般公開されていて、見学することができる。
- 東海道岡部宿旧旅籠「柏屋」<かしばや> (静岡県志太郡岡部町)
- 東海道日坂宿旧旅籠「川坂屋」 (静岡県掛川市)
- 東海道新居宿旧旅籠「紀伊国屋」 (静岡県浜名郡新居町)
- 東海道二川宿旧旅籠「清明屋」 (愛知県豊橋市)
- 東海道関宿旧旅籠「玉屋」 (三重県亀山市)