新フルカトンネル
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新フルカトンネル、正式名称フルカベーストンネル(Furka-Basistunnel)は、スイス国内のヴァリス州オーバーヴァルト(Oberwald)とウーリ州レアルプ(Realp)を結ぶ、マッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)の鉄道トンネルである。全長15.442kmで、1999年11月にレーティッシュ鉄道(RhB)のフェライナトンネル(19.042km)が開通するまで、狭軌鉄道(MGBやRhBはメーターゲージ)の山岳トンネルとしては世界最長であった(なお、それ以前の世界最長は日本の北陸トンネルである)。
開通当時はフルカ・オーバーアルプ鉄道(FO)であったが、FOは2003年にブリーク・フィスプ・ツェルマット鉄道(BVZ)と合併し、マッターホルン・ゴッタルド鉄道となった。
[編集] 概要
標高2431mのフルカ峠を超える鉄道は、かつては2160mの高所を全長1.874km(1.858km説あり)の旧フルカトンネル(Furka-Scheiteltunnel)で抜けていた。その途中は最大勾配110パーミルのアプト式、しかも冬季は雪崩の被害を避けるために鉄橋を取り外すほどの豪雪地帯で、半年以上にわたり不通となる難所であった。
国防上の要請もあり、スイス政府主導で輸送力改善のためのトンネル建設が計画され、複数のルート案の中から最も早期に実現可能なルートとしてオーバーヴァルト~レアルプ間が採用された。1973年に着工、途中難工事のために工事費の高騰に見舞われながら、1981年4月に貫通、1982年6月26日より営業運転を開始した。
新トンネルは、フルカの名こそ冠しているものの、実際の線形は勾配緩和のためにフルカ峠の南側に大きく迂回している。このため、旧線の18.1kmに対して新線区間は17.7kmと、距離の短縮はわずかであるが、最急勾配は118パーミルから17.5パーミル(トンネル内の最急勾配)へと大幅に緩和された(トンネル外には短区間ながら24~30パーミル区間が存在する)。全線単線だが、行き違いのための信号場がトンネル内に2箇所設けられている。
また、トンネル中央部から分岐してティチーノ州ベドレットへ抜ける5.221kmの「ベドレット・フェンスター」と呼ばれるサブトンネルが設けられている。これは建設時の作業坑として掘削されたものだが、完全な鉄道トンネルとして転用可能なよう当初から計画されていた。現在は機能していないが、これが開通した場合、南方のヌフェネン峠(標高2478m)の代替ルートとなり得る。
新トンネルの開通により大幅な時間短縮と通年運行が確保された一方、ローヌ氷河の末端を眺める旧線の車窓景観は失われることとなった。旧線ルートは1992年以降、夏季に限りフルカ蒸気山岳鉄道(DFB)としてレアルプ側から順次区間を延ばしつつ復活運転が行われている。2000年夏には旧フルカトンネルを抜けてローヌ氷河に近いグレッチュ(Gletsch)まで達した。2008年にはオーバーヴァルトまでの旧線全区間が復活する予定である。
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