播但鉄道
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播但鉄道(ばんたんてつどう)は、兵庫県の播磨地方と但馬地方を結ぶ鉄道を運行していた鉄道会社である。現在のJR播但線の基礎となっている。
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[編集] 概要
1876年(明治9年)、飾磨と生野銀山間には生野鉱山寮馬車道が整備されていたが、その後、内藤利八、浅田貞次郎ら数名の有力者が馬車鉄道で結ぶことを計画した。 馬車鉄道では輸送量増加により能力が不足することが懸念されたため、汽車鉄道へ変更、一時はさらに舞鶴へ至る播丹鉄道(同名であるが、現在の加古川線などを運営していた播丹鉄道とは異なる)へと発展した。 但し、舞鶴を起点・終点とする鉄道計画は、播丹鉄道をはじめ、京鶴鉄道(京都~舞鶴)、摂丹鉄道(尼崎~福知山~舞鶴)、舞鶴鉄道(大阪~園部~舞鶴)、舞鶴鉄道(大阪~綾部~舞鶴)、南北鉄道(加古川~舞鶴)の6つあり、それぞれの設置運動が活発化したが、乱立によりはいずれも却下されたため、飾磨と生野銀山間の汽車鉄道計画に戻されることとなった。
1894年(明治27年)7月26日に姫路~寺前間で開業し、1895年(明治28年)4月17日には当初計画の飾磨~生野間が全通した。
当時の鉄道利用者は少なく、経営の難航が予想されたことから、利用者の増加を図るために和田山まで北伸計画の実施が急がれ、生野~新井間の工事は着工した。 ただ、この区間は途中難工事が多く、また義和団事変後の不況により、新株での増資が十分に行えなかったため、社債で本工事を完遂させることで開通させた。 しかしこのことから莫大の負債を負うこととなり、おりからの不況も相まって経営状況は悪化、山陽鉄道へ売却されることとなり、播但鉄道は解散することとなった。
その後、新井駅~和田山駅間は山陽鉄道によって整備され、1896年(明治40年)12月1日、鉄道国有法により飾磨~和田山間は国有化、播但線となった。 また、播但線を延伸する形で敷設された山陰本線(山陰東線)と合わせて姫路・鳥取間の陰陽連絡線が実現した。
なお、播但鉄道では、最終的には和田山から日本海側の津居山まで延伸することを計画していた。
[編集] 歴史
- 1887年(明治20)11月5日 内藤利八、浅田貞次郎ら馬車鉄道敷設(飾磨馬車鉄道)を出願
- 1888年(明治21)5月 馬車鉄道敷設へ免許取得
- 1889年(明治22)3月 姫路~舞鶴間を汽車で結ぶ播丹鉄道の発起人会が開かれる
- 1889年(明治22)7月 播丹鉄道が却下される
- 1889年(明治22)10月1日 発起人が飾磨~生野間の鉄道計画継続を確認、播但鉄道に呼称変更
- 1889年(明治22)10月18日 飾磨~生野間の汽車鉄道敷設を出願
- 1893年(明治26)3月8日 鉄道敷設の仮免許取得
- 1893年(明治26)5月30日 測量が完了し、鉄道敷設の免許申請
- 1893年(明治26)6月30日 鉄道敷設の本免許取得
- 1894年(明治27)2月 敷設工事開始
- 1894年(明治27)5月 生野~和田山間の仮免許取得
- 1894年(明治27)7月26日 姫路~寺前間開業
- 1895年(明治28)1月15日 寺前~長谷間開業
- 1895年(明治28)4月17日 長谷~生野間、姫路~飾磨(後の飾磨港)間開業
- 1896年(明治29)5月 生野~和田山間の敷設本免許、和田山~津居山間の仮免許取得
- 1896年(明治29)9月 和田山~津居山間敷設を申請
- 1897年(明治30)3月18日 生野~新井間敷設工事着工
- 1897年(明治30)8月 和田山~津居山間の本免許取得
- 1898年(明治31)5月18日 工事中止
- 1899年(明治32)5月 生野~和田山間の工事竣工期間経過により免許返納
- 1899年(明治32)7月 生野~新井間の仮免許取得、社債により32万円調達
- 1899年(明治32)10月30日 生野~新井間の本免許取得
- 1900年(明治33)4月6日 工事再開
- 1901年(明治34)8月29日 生野~新井間開業
- 1902年(明治35)3月 和田山~津居山間の工事竣工期間経過により免許返納
- 1902年(明治35)5月 山陽鉄道へ140万円で資産を売却
- 1903年(明治36)5月31日 播但鉄道会社清算完了
[編集] その後
- 1903年(明治36)6月1日 山陽鉄道による営業開始
- 1903年(明治36年)6月14日 山陽鉄道が新井~和田山間敷設工事着工
- 1906年(明治39)3月31日 鉄道国有法成立
- 1906年(明治39)4月1日 新井~和田山間開業(播但線全線開通)
- 1907年(明治40)12月1日 播但線が国有化
- 1986年(昭和61)11月1日 姫路~飾磨港間廃止
- 1987年(昭和62)4月1日 国鉄が分割民営化。西日本旅客鉄道に承継
- 1998年(平成10)3月14日 姫路~寺前間が電化
[編集] 歴代社長
- 藤田高之
- 牟田口元学
- 鹿島秀麿
- 内藤利八