接線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
接線(せっせん、tangential line)とは直線の一種で、次の定義を満たすもの。古くは切線とも書かれた。
[編集] 定義
曲線上の2点、PとQを通る直線Lがあるとすると、QをPに限りなく近づけた時のLの極限が点Pにおける接線である。このとき点Pを接点と呼ぶ。
[編集] 性質
円の接線の性質については、、円 (数学)を参照。
ここでは、微分と接線の関係について述べる。
平面上の微分可能な曲線C: y=f(x) 上の点P(x0, f(x0)) における微分係数f' (x0) は、点Pにおける接線Lの傾きである。
したがって、接線Lの方程式は、
- y − f(x0) = f'(x0)(x − x0)
と表せる。
例えば、放物線y=f(x)=x2 上の点(-1,1)における接線は、f' (-1)=-2であるから、
- y + 1 = − 2(x + 1)
すなわち、y=-2x-1 である。
また、接線Lは接点P付近で、曲線Cを近似しているものと見なすことができる。 接点P付近を拡大すると曲線Cと接線Lがほとんど一致しているように見えるからである。
例えば、y=sinxの原点における接線の式は、y=x であるから、xの値が十分0に近いときには、sinx≒x が成り立つ。
なお、このことは平均値の定理を用いることで誤差を評価することもできる。
[編集] 注意点
微分可能な曲線ならば、接線が存在する。しかし、その逆は必ずしも正しくない。
例えば、y=x1/3 は、原点においても接線が存在する(接線の方程式はx=0)が、原点では微分可能でない。
また、三角屋根状に尖った曲線などでは、点Qを点Pに近づける方法によって、直線Lが異なってくる場合があるため、このとき接線は存在しない。
例えば、y=|x|の原点において、点Qをx>0側から近づけると直線Lはy=xに、 x<0側から近づけるとy=-xに近づく。