手形交換所
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手形交換所(てがたこうかんじょ)とは、一定の地域内に所在する金融機関が申し合わせによって、定時に決まった場所へ約束手形や小切手などを持ち寄って、その決済交換を行う場所を言う。
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[編集] 手形交換所略史
[編集] 手形交換制度
取引先から金融機関に預金や取立依頼のために持ち込まれた手形や小切手は、支払場所が自金融機関であれば、口座間の残高移動によって処理することが出来る。
しかし、同一地域内に複数の金融機関が存在し、また事業による決済が全国的に行われる現状において、そのような事例は少ない。
そこで、金融活動の円滑化を図るために、地域内の金融機関がその地域内で決済すべき手形類を持込交換した上で、金融機関同士の債権債務の差額を計算(この差額のことを交換尻という。)して、互いに決済することとした。これを、手形交換制度という。
このことにより、個別に金融機関が支払場所金融機関へ出向いて取立てるよりも、金銭の輸送リスクや人員確保、時間の節約などにより、手形業務の煩雑さを回避できるのみならず、取立を受ける金融機関側においても、いつ受けるかわからない取立に備えて支払の準備金を常に用意する必要がなくなるのである。
[編集] 日本における手形交換
[編集] 手形交換所の運営
手形交換所は、各地に組織された銀行協会や金融団などの金融機関団体により運営されている。2004年3月31日現在、155ヶ所の法務大臣指定の手形交換所(指定手形交換所)が運営されている。また、これ以外にも地域の便宜を図るために、304ヶ所の私設手形交換所が各地に置かれている。なお、指定か私設かで実質的に制度が大きく異なるわけではない。
[編集] 取引停止処分制度
手形や小切手の信用を維持するため、日本各地の手形交換所には、取引停止処分という制度がある。これは、資金不足などにより、手形や小切手の決済が出来なくなった場合、その手形類は不渡となり、6ヶ月の間に2回不渡を起こすと、当該手形交換所で取引をするすべての金融機関との間で、当座取引及び貸出取引が2年間禁止されるという制度である。金融機関と取引ができなくなる企業にとっては、事実上の倒産を意味することが多い。