成年
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成年(せいねん)とは、法的には、単独で法律行為が行えるようになる年齢の事であり、一般社会においては、身体的、精神的に十分に成熟する年齢を指す事が多い。
成年に達した者を成年者といい、未成年者に対する概念である。各国において成年は、ある年齢を基準として法的に定義される事が多い。そして、その基準となる年齢は、国や地域によって18~21歳とばらつきがある。
[編集] 日本における成年
日本では、満20歳をもって成年とする(民法第4条)。ただし、20歳未満であっても婚姻していれば成年者とみなされる(民法第753条)が、成年者とみなされるも、飲酒、喫煙、選挙権などについて、法の条文に年齢が明記されており、成年者と見なされてもこれらの行為を行う事は出来ない。又、天皇、皇太子、皇太孫については、18歳で成年となる(皇室典範第22条)。
20歳になると法的に飲酒、喫煙、投票などが可能になるが、飲酒や喫煙は実際には規制が甘く、法を守っている人は少ない。飲酒や喫煙が20歳未満だと発育に影響するといわれるが、「20歳」に科学的な根拠はないともいわれている。
日本以外の国での成年は、18歳が多いが19~21歳の国もある。一般に大人というと成年者などを指す事が多い。
なお、日本では成年(20歳)を迎えると、一般に全国の市町村で成人式が盛大に行われる。
[編集] 成人と成年
そもそも成人とは、一人前という意味である。何をもって一人前とするかは、時代や民族により大きく異なる。
家族の存続を重視する朝鮮の伝統社会では、結婚が成人の指標とされた。つまり、10歳でも結婚していれば成人として扱われ、30歳でも未婚ならば成人とは扱われなかった。
又、原始社会や狩猟採集社会では、特定の猛獣が射止められるか否かが成人の指標になった。つまり、年齢ではなく集団に貢献できる能力を成人の基準にしたのである。この基準でも、10歳で成人待遇できる者もいれば、生涯成人待遇できない者も現れる。
近代以降では、年齢によって成人かどうかを判断する事が増え、年齢による判断基準については成年という用語が使われる。
近代以降の日本では、20歳をもって成年としているが、これは法律を公平に適用するための規準に過ぎない。未成年でありながら、家族の生活に責任を持っている者はいるし、又、少年法で処罰されない事を知り尽くした上で犯罪を重ねている者もいる。反対に、とっくに成年に達していながら、援助なしでは生存できない者もいる。
能力を成人の基準にすれば、生涯成人出来ない者が現れるし、年齢を基準にすれば、昔の時代においては成人待遇してはならない者まで成人待遇する事になる。
なお、成人ビデオや成人映画など成人向けとされているものは18歳以上を指す。これは性風俗を扱う物で男性の婚姻年齢が法的に18歳以上というところから来ている。
又、医学的には、成人は小児に対する概念であり、やはり年齢を基準として区別するが、法的な定義よりは若く15歳程度からを成人として扱う事が多い。第二次性徴を迎えれば、肉体的には成人するからである。動物の「成人」は、肉体的な成熟のみで判断する。