希望入団枠制度
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希望入団枠制度(きぼうにゅうだんわくせいど)は、日本プロ野球のドラフト会議において、ドラフト上位候補選手が希望球団に入団できる制度である。昔は逆指名制度、自由獲得枠制度であった。
[編集] 概説
1993年からこれまでドラフト会議では入札抽選方式、即ち複数のチームから選手が指名された場合は抽選をしていた(封筒に封入されている紙に「交渉権獲得」のハンコが押されているチームがその選手との交渉ができる)が、江川事件をきっかけにドラフト制度に疑問を感じていた読売ジャイアンツが「職業選択の自由を」と主張したものである。
対象とする選手は大学生と社会人野球の選手で1チームに付き2名まで。対象選手が自分の希望するチームを宣言する。正式にはドラフト指名を受けた段階で交渉できるが、事実上その時点で入団が決定したといっても良かった。ただ問題が生じ、契約金の高騰化などによって脱税事件の温床になった。
2001年から逆指名制度から自由獲得枠制度に変更された。しかし自由獲得枠制度も実質的には逆指名制度とほぼ同じで、根本的な改善とはなっていない。2005年から、選手と球団で入団が合意に達した場合、その球団に内定させる希望入団枠制度に変更された。各球団に1人分ずつ与えられている。
[編集] その他
希望入団枠制度は、球団選択の自由を保障するために導入されたものである。一方、その選択の自由がアマチュア野球で実績を残した者に限られるといった不公平感、選手周辺の関係者への裏金問題の未解決といった問題がある。また、球団選択の自由の保障といっても、実際は両親や所属する野球部監督の意向に逆らえずに希望しない球団を逆指名するケースもあり、球団選択の自由も十分保障されているとはいい難い。このことを考えると、希望入団枠制度は、問題点の方が多い。本来であれば、全面自由化か全面ウェーバー化のいずれかを導入するべきであるが、各球団の思惑が錯綜し、具体化はされていない。