市川準
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市川 準(いちかわ じゅん、1948年11月25日 - )は、日本の映画監督、CMディレクター。
本名は、市川 純(読み同じ)。東京都府中市出身。CM演出家を経て1987年に『BU・SU』で映画初監督。以降、幅広い題材に意欲的に取り組み話題作を数多く発表している。
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[編集] 来歴
画家を志して東京芸術大学美術学部絵画科への入学を目指すが浪人を繰り返す。1975年にCM制作会社に入社してCM演出家になり、1981年の退社後は無所属で活動する。演出家として禁煙パイポ、箪笥にゴン、エバラ焼肉のたれ、タフマン、デューダ等のテレビCMを作る。
1987年10月に富田靖子主演の『BU・SU』で映画初監督。田舎の少女が上京して芸者になるビルディング・ロマンである。暗く閉鎖的なために「性格ぶす」を揶揄される少女が他者と出会う様子を描き、好評を獲得する。
1988年11月にハナ肇とクレージーキャッツ主演の『会社物語 MEMORIES OF YOU』を発表する。中年サラリーマンの群像劇を通して、決して平凡ではない普通の人達の生活を描いた。
1989年12月にいとうせいこう原作の『ノーライフキング』を発表する。テレビゲームに熱狂する少年達を描き、テレビゲームが広く注目を集めた当時の世相を色濃く反映した作品となった。世界観を原作とは大きく変えた。
2002年に三谷幸喜原作の『竜馬の妻とその夫と愛人』を発表する。戯曲を映画化した珍しいタイプの作品である。坂本竜馬の死後に再婚して愛人も作った未亡人に主眼を置き、本来の主役(竜馬)を全く描かず、その周囲の人物の騒動を追った異色の時代劇となった。
2004年に村上春樹原作の『トニー滝谷』を発表する。村上は大変高い人気を持つ小説家だが、その作品は殆ど映像化されていなかった極めて特殊な存在である。長年に渡り村上作品を愛読してきた市川は有名な長編ではなくマニアックな短編の映画化に挑んだ。市川はイッセー尾形と宮沢りえの二人の優れた俳優を用いて村上が照らす現代人の底の無い孤独を落ち着いた美しい色調で映像化した。第57回ロカルノ国際映画祭で審査員特別賞、国際批評家連盟賞、ヤング審査員賞を受賞した。
[編集] 監督作品
題名 | 制作年 | 兼任 | |
---|---|---|---|
1 | BU・SU | 1987 | |
2 | 会社物語 MEMORIES OF YOU | 1988 | 脚本 |
3 | ノーライフキング | 1989 | |
4 | つぐみ | 1990 | 脚本 |
5 | ご挨拶 | 1991 | 脚本 |
6 | 病院で死ぬということ | 1993 | 脚本 |
7 | クレープ | 1993 | 脚本 |
8 | きっと、来るさ | 1993 | 脚本 |
9 | 東京兄妹 | 1995 | |
10 | トキワ荘の青春 | 1996 | 脚本 |
11 | 東京夜曲 | 1997 | 原案 |
12 | たどんとちくわ | 1998 | 脚色 |
13 | 大阪物語 | 1999 | |
14 | ざわざわ下北沢 | 2000 | |
15 | 東京マリーゴールド | 2001 | 脚本 |
16 | 竜馬の妻とその夫と愛人 | 2002 | |
17 | トニー滝谷 | 2004 | 脚本 |
18 | あおげば尊し | 2005 | 脚本 |
[編集] 出演作品
- 『晴れた家』:2005年。『トニー滝谷』のメイキング映画。