小胞体
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小胞体(しょうほうたい)とは真核生物の細胞小器官の一つであり、一重の生体膜に囲まれた板状あるいは網状の膜系。核膜の外膜とつながっている。電子顕微鏡による観察でその存在が明確に認識された。
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[編集] 構造
外観から名付けられた主に二種類の小胞体がある。一つは粗面小胞体と呼ばれ、多数の鋲が打たれたように、あるいは点が付着して見えたためにこの名がついた。これはリボソームが細胞質基質側表面に結合しているためであることがその後明らかとなった。もう一つは表面にリボソームのない滑面小胞体。
[編集] 機能
小胞体は多くの細胞機能に関わっている。
[編集] 蛋白質合成関連
粗面小胞体では、ゴルジ体やリソソーム、小胞体、細胞膜等を構成するタンパク質および、分泌蛋白質が合成される。
[編集] 蛋白質のプロセシング
合成された蛋白質の折りたたみや切断、ジスルフィド結合、糖鎖の付加等が、小胞体膜表面や内腔で行われる。また、異常なコンフォメーションをとった蛋白質の分解等も行われている。
[編集] 脂質
滑面小胞体は、脂質を合成する。
[編集] 蛋白質の輸送
合成された蛋白質は小胞体から出芽する輸送小胞によって他の細胞小器官や細胞膜へと輸送される。ゴルジ体を経由する系が主要な物とされる。
[編集] 代謝
シトクロムやシトクロムP450等が局在し、これらの酵素が様々な物質の代謝を行っている。
[編集] カルシウム貯蔵
細胞内カルシウム濃度は、細胞外からのカルシウムの流入に加え、細胞内のカルシウム貯蔵器官からのカルシウム放出によっても制御されている。小胞体はこのカルシウム貯蔵器官であり、IP3受容体など細胞内シグナル伝達に関わる蛋白質が局在し、カルシウム結合蛋白質等とともにシグナルに応じたカルシウムの放出を行っている。
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