寺内ダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
寺内ダム(てらうち-)は福岡県朝倉市(旧・甘木市)荷原地先、筑後川水系佐田川に建設されたダムである。
[編集] 福岡の水がめ
1964年(昭和39年)に筑後川水系は「水資源開発促進法」に基づく「水資源開発水系」に指定され、これ以降水資源開発公団(現独立行政法人水資源機構)によって「筑後川水系水資源開発基本計画」(フルプラン)が策定された。この中で寺内ダムは北部九州の水需要を賄うべく江川ダム(小石原川)と共に事業計画が為され、1970年(昭和45年)より事業に着手された。
ダムの型式はロックフィルダム、高さは83mで1978年(昭和53年)に完成した。目的は洪水調節・不特定利水・灌漑・上水道であり、福岡市等に上水道を供給する福岡導水や朝倉市等に上水道・農業用水を供給する両筑平野用水の水源となっている。完成年に福岡大渇水が起こり江川ダムや那珂川の南畑ダム・背振ダムが枯渇したが、寺内ダムは普段は使用しないデッドウォーター(死水)も利用して福岡市に水を供給した。ダム建設に伴い147世帯が水没したが、補償交渉は僅か1年半というスピード妥結となった。これは情報開示を積極的に行い、補償基準を1軒毎に木目細やかに設定・交渉した事で地元住民の信頼を得た事による。蜂の巣城紛争の教訓を生かした補償交渉でもある。
ダムは朝倉市内に近い都市型ダムであり、大分自動車道甘木インターチェンジを過ぎ日田方面に走ると左側にダムの姿が見えてくる。ダム湖は「美奈宜湖」(みなぎこ)と呼ばれ地域住民の憩いの場ともなっている。