宇野克明
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宇野 克明(うの かつあき、1961年12月24日-) は日本の医学者(外科学・腫瘍免疫学)。日本免疫治療学会会長。医療法人財団コンフォート会長・最高統括理事。医学博士。腫瘍免疫学の第一人者であり、1999年に細胞の免疫性に着目してがんを診断する「がん免疫ドッグ」(イムノドッグ)を開発した。
神奈川県横浜市出身。1986年4月東海大学医学部医学科卒業。同年5月医籍登録。東京女子医科大学第二外科にて一般外科、救急外科を研修。1988年から杏林大学第一外科免疫斑にて非特異的抗腫瘍免疫治療の基礎研究に入り、リンパ球内部の抗酸化ストレスに着目し、腫瘍に対するサイトカインの発現を促進させる手法にて分子免疫治療の基盤となる技術を開発した。1995年1月医学博士(杏林大学)。1996年9月医療法人財団コンフォート理事長。1999年1月日本初の「がん免疫ドッグ」(イムノドッグ)を開発し、コンフォート病院(横浜市西区)にて運用を開始、2000年6月同院にがん研究・治療部門「免疫研究センター・免疫外来」を開設、2001年2月には老化メカニズム研究を目的にした「免疫研究センター・細胞老化部門」を開設した。同年4月から東海大学医学部外科学教室にてHLA・癌免疫研究に携わる。2004年4月東海大学医学部基礎系生体構造機能学教室非常勤講師。同年5月ハルビン医科大学(中華人民共和国黒龍江省)名誉教授。2005年3月日本免疫治療学会会長。2005年4月医療法人財団コンフォート会長・最高統括理事。
宇野が開発した細胞の免疫性に着目してがんを診断する「がん免疫ドッグ」は腫瘍免疫学に基づいた診断システムとして最初に臨床応用されたものであり、その後、多くの医療機関にて導入される契機となった。当初は免疫療法を過大に重視しているとの批判がなされたが、現在では手術療法・化学療法・放射線療法など標準治療を含めた集学的治療の一部との位置付けがなされている。その他にも同院を基盤に癌に対する基礎免疫治療、カテーテル・インターベンション、サリドマイドを用いた血管新生阻害治療などの臨床応用を進めている。
また医療訴訟にて患者側の鑑定医・意見医を積極的に引き受けていることでも知られる。
[編集] 主な著書
- 『AHCCの基礎と臨床』分担執筆(ライフサイエンス,2003)
[編集] 主な論文
- 『消化器癌患者における非特異的免疫治療とAdvanced Terminal Care』消化器と免疫(0286-7618)40号 Page102-105(2004.06)
- 『消化器疾患の病態とTh1/Th2バランス 消化器癌患者におけるTh1/Th2バランスを中心とした免疫学的パラメータ検討の意義』消化器と免疫(0286-7618)37号 Page19-22(2001.07)
- 『癌免疫治療におけるパラメータと化学療法併用の意義』Biotherapy(0914-2223)15巻Suppl.II Page73(2001.11)
- 『担癌患者に対する植物由来多糖類抽出物(AHCC)効果 免疫学的パラメータとperformance statusへの影響』Biotherapy14巻3号Page303-309(2001.11)
- 『Impaired Th1-Related Immune Systems in Cancer Patients. 』Annals of Cancer Research and Therapy Vol.8, Nos.1&2 Page77-87(2000.6)
- 『免疫学的パラメーターを用いたがんスクリーニングの意義』日本臨床免疫学会会誌第23巻2号 Page114-123(2000.04)
- 『炎症性腸疾患の病態におけるTNFαの関与とプロテアーゼ・インヒビターの効果に関する研究』杏林医学会雑誌(0368-5829)25巻3号 Page427-437(1994.09)
- 『炎症性腸疾患における単核球のTNF産生能とその抑制』Therapeutic Research(0289-8020)14巻Suppl.2 Page560-563(1993.07)
- 『炎症性腸疾患,消化器癌の貧血に対するrt-エリスロポエチンの臨床応用』Therapeutic Research(0289-8020)11巻Suppl.2 PageS474-S477(1990.06)
- 『炎症性腸疾患(IBD)における貧血とエリスロポエチン(EPO)』Therapeutic Research(0289-8020)10巻Suppl.1 Page122-126(1989.05)
- 『免疫パラメーターを用いたクローン病活動度診断』Therapeutic Research(0289-8020)10巻Suppl.1 Page118-121(1989.05)
- 『脾動脈瘤の2治験例』山梨県立中央病院年報(0289-4394)15巻 Page6-12(1988.12)