宇宙の年表
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宇宙の年表(うちゅうのねんぴょう)は、科学的な推測に基づいた、現在までの宇宙で起きた出来事の年表である。なお、宇宙の未来については、宇宙の終焉を参照のこと。
目次 |
[編集] 年表
- 137(±2)億年前: 宇宙がビッグバンで始まる。
- ビッグバンから10-44秒(プランク時間)後: 超統一力が大統一力と重力に分かれる。
- ビッグバンから10-36秒後: 大統一力が電弱力と色の力に分かれる。インフレーションが始まる。
- ビッグバンから10-34秒後: インフレーションが終わる。
- ビッグバンから10-10秒後: 電弱力が電磁気力と弱い力に分かれる。
- ビッグバンから10-6秒後: クォーク・ハドロン相転移が起こる(色の力から強い力へ)。
- ビッグバンから1秒後: 重水素の原子核の合成が始まる。
- ビッグバンから3分後: 原子核の合成がヘリウムで終了する(ごく少量のリチウム原子核も合成された)。
- ビッグバンから38万年後: 陽子が電子を捕らえ、原子が誕生する。
- これにより、電子と相互作用しにくくなった光子が長距離進めるようになった。これを宇宙の晴れ上がりという。
- ビッグバンから約1~8億年後: 最初の銀河が形成される。
- ビッグバンから約2~10億年後: 天体から出される紫外線により、宇宙を満たす中性水素ガスが電離する(宇宙の再電離)。
- ビッグバンから約70億年後: ダークエネルギーにより宇宙の膨張の仕方が減速膨張から加速膨張に変わる。
- 現在: ビッグバンのなごりとして2.7Kの宇宙背景放射が観測される。
[編集] 年代の推定に関する問題
1990年代途中までは、宇宙の膨張(ハッブル定数と減速膨張)から算出される宇宙の年齢が約80億年、球状星団の年齢が140億年以上(したがって宇宙の年齢はそれ以上)と推定方法により結果が大きく異なり、宇宙論の大きな問題点だった。しかし、宇宙の膨張からの算出は、ダークエネルギーによる加速膨張を考慮する必要があることが解り、球状星団の年齢も、観測結果の解釈の見直しにより120~130億年であることが解った。2006年現在では、WMAPのデータ以外から算出される宇宙の年齢も137億年に近い値になっており、以前に比べれば正確になっていると考えられる。
しかし、宇宙の最初期に関しては、物理法則と現在の宇宙の状態からの推定であり、直接的実験もしくは直接的観測で確かめられたわけではない。そして、今後新たな現象が発見され、現時点では予測不能な物理法則があることが分かったり、現在予測されてはいるものの未解明の力の統一理論などの詳細が分かったりすることなどにより、宇宙モデルが修正されるかもしれない。そのようなことが起こった場合、上記の宇宙の年齢や宇宙の最初期の状態は見直されることになるかもしれない。
なお、現在の主流として、「宇宙が誕生した直後にインフレーションが起き、物質が生成され、インフレーションの終了直後に熱的膨張(ビッグバン)がおこった」とされている。