妖界ナビ・ルナ
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妖界ナビ・ルナ(ようかい-)は、池田美代子・作、琴月 綾・画の児童文学。全10巻の予定。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
竜堂ルナは小学4年生。赤ちゃんの頃、養護施設・星の子学園の前に置き去りにされて以来、ここで育ってきた。春休みのある夜、幼馴染・サエが何者かに連れ去られるという事件が起こる。そしてこの事件により、ルナは自らの出生の秘密と自身に秘められた力、そして使命を知り、妖界ナビゲーターとして旅立ったのだった。
[編集] 登場人物
[編集] 主要登場人物
- 竜堂ルナ(りんどう-)
- 陰陽師の父と、妖怪の母の間に生まれた、伝説の子のかたわれ。旅立った当時は小学4年生。赤ちゃんの頃、星の子学園に置き去りにされたらしい。うなじに第三の目を持ち、それを開眼させる事でうず目になり、驚異的な身体能力などを得る。うず目の力や超聴力などと言った妖怪の力、九字や呪符といった陰陽道の力などを駆使し、人間界に現れた妖怪の邪気を祓い清め、妖界に帰す妖界ナビゲーター。優しく勇気があり、かまちにもっけが傷つけられるまで、怒る事を知らなかった。一番好きな食べ物はやきそば、二番はお好み焼き。特技は学食のメニューを当てる事。運動オンチだが、幹太郎に教えてもらってから、泳ぐ事は出来るようになった。幼い頃のニックネームはリュナ。妖怪としての力が目覚めてから、成長がとても遅くなっているが、ルナ本人はまだその事には気づいていない。誕生日は一月一日。
- スネリ
- ルナを守るため、妖界からやってきた妖怪。レンメイに仕えていた。姿を消す、一部の記憶を消す、念をとばす、人間に変身するといった、多彩な妖力を持つが、体力はあまり無い。ふだんは白猫の姿に変化している。妖界には『キンカ』と言う名の虎に似た恋人が居る模様。人間に変身すると、黒髪黒服でモデルのようにスタイルのいい女性になる。人間から猫に戻る際は両耳のイヤリングを触る。栄養バランスにうるさい。妖怪などの匂いをかぎつける事も出来、ルナにすすめているが、納豆の匂いは苦手。寒さが苦手。現在ルナがつけているチョーカーはスネリの一族が代々伝説の子に渡すようにうけついできたもの。モデルはスネコスリ。
- もっけ
- ルナを守るため、妖界からやってきた妖怪。レンメイに仕えていた。光る影になる、念をとばす、大きくなる、といった妖力と、超聴力と高い知能を持つ。鋭い爪で攻撃する事も出来る。ふだんはふくろうの姿に変化している。ルナに生き返らせてもらった後は妖力が強くなり、少年の姿に変化出来るようになった。泳ぎは苦手であったが、こっそり練習し、上手になっている。TV番組「トリオでビンゴ」が好き。暑さが苦手。モデルはたたりもっけ。
- レンメイ
- ルナとタイの母親で、三百年生きた狐の妖怪。妖界では姫だった。特別大きな妖力を持ち、人間界に結界が張られてもなお、妖界と人間界の行き来が出来る唯一の妖怪だった。そのため、時々妹のレンスイ(都和子先生)の様子を見に行っていた。自らの命と引き換えに、ルナ達を生んだ。うず目。命日は一月一日。
- 都和子先生/レンスイ(とわこせんせい/-)
- 星の子学園の元先生。実はきつねの妖怪。レンメイの妹。しかし、妖力が弱く人間界に住むことになった。星の子学園に置き去りにされたルナが、唯一懐いたらしい人物。
- ルナの父
- ルナとタイの父親で、陰陽師。彼の祖先は妖怪が人間界へ行けなくなるようにするため、人間界に結界を張った。悠久の玉を使って、ルナとタイの第三の目を封印したが、その際に命を落とした。名前は不明。命日は一月一日。
- タイ
- ルナと同じ両親から生まれた、伝説の子のかたわれ。ルナの弟。右手のひらに第三の目を持っており、うず目になれる。ルナとは違うタイプの九字を使う。度々ルナの前に現れる。ルナに妖界に送られた。誕生日は一月一日。
- カザン
- タイといつも共にいる、黒い犬の妖怪。自ら毒を飲み、カザンに攻撃を受けると、毒にやられてしまう。もっけにやられて弱っているところをルナに妖界に送り帰された。
[編集] 1巻登場人物
- サエ
- 星の子学園に住む、小学4年生。少し太っており、筋肉質で、学校では密かに「女子プロ」と呼ばれていた。学園でも学校でもボス。昔はルナと仲良かったが、最近は人気者であるルナへの嫉妬から、ルナに意地悪をしていた。幼い頃のニックネームはチャエ。保育園時代、ルナが虐められていたのをいつも庇っていて、目尻の傷はその時についた。かまちに、ルナと勘違いされて、連れ去られた。
- さとし
- 星の子学園に住む、小学4年生。意地悪な性格だが、二階から飛び降りたという事になっているルナを心配する優しさも持っている。
- まなみ
- 星の子学園に住む、小学4年生。サエが連れ去られた際、かまちに襲われた。
- かまち
- 悠久の玉を狙い、妖界からやってきた妖怪。凶暴な性格で、風の刃をつくりだし操ることができる。サエを連れ去った犯人。モデルはかまいたち。ルナが最初に妖界に送り返した妖怪。
- ミチ
- 星の子学園に住む、小学2年生。
[編集] 2巻登場人物
- しずく
- ルナ達が訪れた港町で、大道芸をしていた女性。水を自在に操る事が出来、ふとした瞬間に緑色に見える目を持つ。実は人魚で、人間界が見たくて人間界に来た。しかし来てすぐに足で歩くのが困難になってしまい、更に禁じられていた「火に触れる」という事をしてしまったために、人魚に戻ってしまい、寿命も僅かになってしまった。人間の姿でいるために、「ひいらぎや」に代々伝わる、願いが叶う水晶玉を欲していたが、それがしずくが触れた瞬間融けてしまったため、ルナに悠久の玉の在り処を問うた。リョウの恋人。ルナを襲いはしたが、自らの事もかえりみずユイの服の袖に燃え移った炎を消した、優しい人。
- ユイ
- 港町でルナと知り合った、小学4年生の少女。不登校。歌手になる事が夢で、それを叶えるため、お金を貯めて願いを叶える水晶玉を買おうとしていた。ルナとドーナツを作っていた際に、袖に火が燃え移ってしまい、それを消すためにしずくは火に触れてしまった。リョウの妹。
- じっちゃん
- アンティークショップ「ひいらぎや」の主人。願いの叶う水晶玉を守り続けていた。ルナに代々語り継がれてきた不思議な女の伝説を話してくれた。
- リョウ
- しずくの恋人で、ユイの兄。ヒレになったしずくの足を見て声をかけられなかった自分を後悔したくないという一心で、命と引き換えにしずくの命を助けるために、元水晶玉だった液体を飲もうとするが、ルナに阻止された。
[編集] 3巻登場人物
- 幹太郎(かんたろう)
- 果南島にある喫茶店「やまびこ」の主人。自然を大事にする人で、ルナの初恋の相手。ルナに泳ぎを教えてくれた。実は妖怪で、本来の名はキムナ。昔、果南島の山奥に住んでいて、結界が破られたのを機に再び果南島を訪れたが、テーマパークのために山が無くなっており、自然を破壊する人間に怒り、人々を木に変えていた。木に変えられ行方不明になったひろきを探す母親の声を、島の御霊の声と勘違いしていた。モデルはキジムナー。
- ひろきのお母さん
- 旅行客。行方不明になった息子・ひろきを探している。
- ひろき
- 旅行客。行方不明になっている少年。実は幹太郎に木に変えられていた。
- 島のおじいさん
- ルナに、島の御霊の話をしてくれたおじいさん。方言で喋る。
[編集] 4巻登場人物
- ナミ
- 気が強く、疑り深い少女。東小学校3年生。いずみとユージのクラスメイトで、ユージを昔からよく知っている。虐められても言い返さないユージを弱虫呼ばわりしていた。ユージが大事にしていたフラヒドリの玉を見つけ、ユージに火事と玉について問い詰め、そのまま玉を持ち帰った。本当はユージと昔のように遊びたくて、ユージが友達と呼んでいた玉をとれば、またユージが友達をつくって、自分と遊んでくれるかも、と思っていた。
- いずみ
- 東小学校3年生。ナミとユージのクラスメイト。大人しめな性格。
- ユージ
- 東小学校3年生。ナミといずみのクラスメイト。苗字は鳥居(とりい)。東小学校の理科教師、鳥居先生の息子。さとしに姿が似ている。虐められていて、またそれに対して言い返す事の出来ない弱虫。友達がいない。神社で見つけたフラヒドリの玉に、学校であった事を話しかけていた。玉に虐められた事を話した日には、必ず虐めた子の家が火事になり、翌朝には玉が自分のところにあって、足も汚れている事から、自分が玉を操って火をつけたのではないか、と思っていたが、実際は逆で、玉がユージを操っていた。理科室が好きで、宝物である玉を人体模型の中に隠していた。しかし玉がナミに見つかりそうになったため、猫石のお地蔵様の後ろに隠したが、見つかってしまった。実は、人を遠ざける心がフラヒドリの魂と共振し、それで玉の封印が解かれた。その上、フラヒドリの分身の炎と鳥の橋渡しをし、更にはフラヒドリにのっとられてしまったが、ルナとナミの説得により元に戻った。両手のひらに、操られている証拠の、黒い鳥が羽を広げている形の痣があった。
- フラヒドリ
- 鳥の妖怪と炎の妖怪が合体した妖怪で、鳥が炎に従う形でいる。その昔、妖力の源である爪を陰陽師によって封印され、妖力の無い鳥と玉になってしまった。本来、フラヒドリの炎には、熱かったり、何かを燃やしたりといった性質は無いが、何故かちゃんと燃やせている。
[編集] 5巻
新たな登場人物はなし
[編集] 用語解説
[編集] 1巻~全体
- 第三の目
- ルナのうなじ、タイの右手のひらにある目。伝説の子の証。これを開眼させる事で、ルナとタイはうず目になり、妖力を使う事が出来る。ルナの第三の目はルナの父により封印され、かさぶたで覆われていたが、人間界に張られた結界が破られた事により、封印が解けた。第三の目が開いていると体力を無駄に使ってしまうため、ルナはスネリの一族に代々受け継がれていたチョーカーで第三の目を塞いでいる。
- うず目
- レンメイの血をひく者だけが持つ、特別な目。第三の目が開眼する事で現れる。白目の部分はそのまま白いが、黒目の部分が赤くなり、その中は渦を巻いている。うず目は最高の動体視力と言われており、またうず目の神経は脳をも支配し、超運動能力を生み出す。うず目でいると、動物達に警戒されてしまう。
- 悠久の玉(ゆうきゅう-たま)
- ルナの父の祖先が、人間界に結界を張るために使った玉。ルナの父がルナの第三の目を封印する際にも使われた。妖怪が手に入れると、その妖怪の妖力が最大になるため、妖怪達に狙われている。伝説では、悠久の玉の行方は伝説の子だけが知っている、とあるが、ルナは知らなかった。
- 妖界(ようかい)
- 妖怪の世界の事。昔は妖界と人間界は自由に行き来する事が出来たが、悪い妖怪が人間界を征服しようと企んだため、それを阻止しようとしたルナの父の祖先により、人間界に結界が張られたので、レンメイ以外の妖怪は行き来が出来なくなった。しかし最近、悠久の玉をまつっていた五つの祠のうちのひとつ、夜鳴島が地震で島もろとも沈んでしまった事により、再び行き来出来るようになってしまった。
- 星の子学園
- 両親がいない子供や、事情により両親と暮らせない子供達がいる、養護施設。本来は赤ちゃんは預かる事が出来ないのだが、ルナは都和子先生にしか懐かなかったため、特例として育てられる事になった。
- 夜鳴島
- レンメイがルナとタイを生んだ島。ルナとタイの父がその島に残った最後の祠を守っていた。
[編集] 2巻
- 港町
- ルナ達が訪れた、異国情緒ただよう港町。スネリが妖怪の匂いを感じ取った。モデルは横浜。
- 水晶玉
- 願いの叶う水晶玉。緑色に光る。実はしずくの母が、人間界に行こうとしていた妹がまた妖界に帰ってこられるようにと、自らの寿命と妖力と引き換えに作ったもの。人魚であるしずくの手に渡った事で融けてしまった。水晶玉の液体を人間に飲ませれば、人間の寿命と引き換えにしずくは帰る事が出来るので、死にそうなしずくのためにリョウは自らこれを飲もうとしたが、ルナに阻止された。
- 伝説
- じっちゃんがルナに話してくれた、不思議な女の伝説。年をとらない不思議な女と、願いを叶える水晶玉の話。実はその女とは、しずくの叔母。
[編集] 3巻
- 果南島(はてなじま)
- 半分近くの面積を、「楽園」というテーマパークが占めている、小さな島。旅行客の連続行方不明事件が起こっている。モデルはおそらく、沖縄。
- 島の御霊(しま-みたま)
- 果南島にある、魅惑の森にある洞窟の奥にある玉。住民からは島の神と呼ばれている。
- やまびこ
- 幹太郎が経営する、オープンテラス式の喫茶店。カンタロウケーキとカンタロウジュースのセット「カンタロウセット」が、果南島の旅行客の間で密かなブームになっている。なお、ケーキとジュースはそれぞれ単体で頼む事も可能。
[編集] 4巻
- フラヒドリの玉
- フラヒドリの爪が封印されている玉。しくしくと泣き声を発したり、光ったりする。ユージを操り、火事を起こしていた。
[編集] 作品リスト
- 妖界ナビ・ルナ(1) 解かれた封印 ISBN 4265063527
- 妖界ナビ・ルナ(2) 人魚のすむ町 ISBN 4265063551
- 妖界ナビ・ルナ(3) 黒い森の迷路 ISBN 426506356X
- 妖界ナビ・ルナ(4) 火をふく魔物 ISBN 4265063594
- 妖界ナビ・ルナ(5) 光と影の戦い ISBN 4265063632
- 妖界ナビ・ルナ(6) 赤い花の精霊 ISBN 4265063659
- 妖界ナビ・ルナ(7) 青き竜の秘宝 ISBN 4265063691
- 妖界ナビ・ルナ(8) 白銀に光る剣 ISBN 4265063748
- 妖界ナビ・ルナ(9) なぞの黒い杖 ISBN 4265063764
以下はまだ刊行されておらず、刊行が予定されている作品である。
- 妖界ナビ・ルナ(10) 黄金に輝く月
- 2007年1月刊行予定。最終巻。