大豊泰昭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

大豊泰昭（たいほうやすあき、1963年 11月15日 - ）は、台湾南投県埔里鎮出身。平成期（1990年代-2000年代前半）の元プロ野球選手。本名は、陳大豊（Chen Tai-Feng）。ポジションは一塁手、外野手（左翼手）。左投げ左打ち。大順将弘（陳大順・Chen Tai-Shun、元千葉ロッテマリーンズ）は弟。

[編集] 来歴・人物

東峰中では台湾大会で優勝し、華興高では世界大会で優勝、王貞治（現・福岡ソフトバンクホークス監督）に憧れて日本行きを希望するが、20歳にならないと出国できないため、卒業後に2年間母校でコーチを務めた。来日して名古屋商科大学に入学、愛知大学リーグ記録となる通算24本塁打を記録し、全日本代表にも2回選出された。卒業後は、日本人選手扱いとして入団するため中日ドラゴンズの球団職員として1年間在籍。1988年のドラフト2位で中日に入団。王が持つシーズン最多本塁打記録55本（当時）を目標として背番号を55番とした。

プロ1年目の1989年は一軍と二軍を行き来しながらも、14本塁打を記録。2年目には20本塁打を放った。1992年の秋季キャンプで臨時コーチの張本勲に勧められ、一本足打法を始める。1994年には38本塁打、107打点で本塁打と打点の2冠王を獲得。対広島東洋カープ戦で18本塁打を記録し、年間カード別最多本塁打の日本記録となる。1996年にも38本塁打を放つものの、チームメイトである山崎武司に1本及ばず本塁打王を逃した。1998年に矢野輝弘とともに関川浩一・久慈照嘉との交換トレードで阪神タイガースに移籍。1999年には規定打席不足ながら打率.341、2000年には23本塁打を記録。2001年に中日に復帰し、背番号を60番に変更。同年には台湾代表としてIBAFワールドカップに出場した。2002年に引退。

現在は地元・名古屋のテレビ番組に出演する一方で中日のアジア地区スカウトを務め、少年野球の指導も行っている。2004年には、名古屋市中区に中華料理店・大豊飯店を開いた。

[編集] エピソード

1997年 6月5日、横浜ベイスターズ戦（長良川球場）の打席で、米国人審判マイケル・ディミューロのストライク判定に抗議を一言漏らしたことにより、「暴言により退場」の処分となる。その際、ベンチから星野仙一監督、コーチらが飛び出し大騒動となった。その後、ディミューロは集団的な威圧的行為により「生命の危険を感じた」と辞職、帰国した。この事件により審判の権威についての議論が湧き起こった。
シーズンオフには、故郷の台湾でトレーニングの一環として農作業を行っていた。
三振を恐れない豪快なスイングで、詰まったり振り遅れたりした打球でもライナーでスタンドまで運んでしまう本塁打が多かった。
守備については特筆すべき評価はなく、外野の守備は不得手だった。しかし古田敦也は、「実際に見た一塁手のうちで最も守備が上手かった」と評している。
真面目で練習熱心な選手として知られている一方、名古屋地区のテレビ番組に出演する際には、冗談を交えてのトークなど気さくな人柄がうかがえる。
どんなボールでも手を出してしまう癖があり、入団当時の監督である星野仙一は「こいつのストライクゾーンは畳一枚分ある。もうちょっと絞ればもっと打てるのに」といつも嘆いていた。なお大豊が結婚した時には「女の子をみる選球眼はなんでいいんだ」とも。
阪神在籍時の話として、当時の福本豊打撃コーチは、「調子がピークになってるから（練習を）休んで良いと言っているのに、彼はそれを無視してピークを通り越して調子崩してドツボにはまる」と、ある中継中にコメント。
中日球団職員練習生時代の頃は、同時に中日新聞販売所に在籍していて新聞配達もしていた。
自身の店、大豊飯店が入るビルには、大きい肖像画（全身ドラゴンズのユニフォーム姿で一本足打法）が描かれている。店には出来る限り顔を出して、客と野球談義に花を咲かせている。
星野監督がNHK解説者を務めていたとき、髪の毛に関する番組に出て「大豊は昔カツラかぶってました。あ、言っちゃった」と暴露された。
中日時代、星野監督の親友である山本浩二がキャンプを訪れた際、星野から「大豊、（山本浩二に）挨拶したか?」と声をかけられ、帽子を取って丁重に大きな声で挨拶をしたところ、星野から「帽子を取るな帽子を取るな、いきなり老けて見えるから」と冗談交じりに言われたことがある。
阪神時代ヒーローインタビューで流行語大賞を狙って幾度か「ビール飲んでください！」と発言したが全くはやらなかった。
極めて達筆である。