大武神王

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

大武神王
{{{picture-type}}}
{{{caption}}}
各種表記
ハングル：	대무신왕、대해주류왕
漢字：	大武神王、大解朱留王
平仮名：（日本語読み仮名）：	{{{hiragana}}}
片仮名：（現地語読み仮名）：	テムシンワン、テヘジュリュワン
ラテン文字転写：	{{{latin}}}
英語：	Daemusin-wang, Daehaejuryu-wang

大武神王（たいぶしんおう　4年 - 44年　在位18年 - 44年）は高句麗第3代国王であり、大解朱留王、大朱留王ともいう。先代の瑠璃明王の3番目の男子であり、諱は無恤(ぶじゅつ、ムフュル）。度々周辺部族の領土へ侵攻し拡張を行っており、初期の高句麗においてその基礎を築いたと言ってもよい人物である。

『魏書』高句麗伝には「朱蒙死，閭達代立。閭達死，子如栗代立。如栗死，子莫來代立」とあり、『三国史記』の伝える系譜とは異なりを見せる。

[編集] 即位まで

瑠璃明王32年(13年)、扶余に攻められたときに王の命により、無恤は奇策を以てこれを防ぎ、撃退した。その翌年(14年)に11歳で太子に立てられ、高句麗の軍事権限を与えられた。18年10月、瑠璃明王の薨去に伴い、王位を継いだ。

[編集] 治世

22年2月には扶余へ侵攻して扶余王帯素の首を取ったが、帯素の弟（名は不明、金蛙王の末子）が扶余の残党を取り纏め、鴨緑谷で曷思王を名乗り扶余の勢力は今しばらく存続した。大武神王は自分に徳が無く扶余を討つことができなかったと言い、戦死者を弔い戦傷者を慰問するなどしたため、これを聞いた民は大武神王の徳に感じ入り、身を国に奉げることを誓った。同年7月には扶余王帯素の従弟が族人1万余人を率いて投降してき、また26年10月には蓋馬国を征伐し、12月には句茶国王が蓋馬国の滅ぼされたことを聞いて国ごと投降してきた、というように次第に領土を拡張した。28年に後漢の遼東太守から討伐を受けた際には尉那巌城に籠城して数十日に渡って固守し、漢軍を功なく引き上げさせた。32年には楽浪国へ侵攻してこれを降伏せしめ、後に37年にはあらためて楽浪国に襲撃しこれを滅ぼした。しかし、44年9月には後漢の光武帝が海路出兵して楽浪を討伐し、薩水(平安道の清川江)以南が後漢の郡県とされた。

楽浪国へ侵攻した時、大武神王の息子である好童（こうどう、ホドン）が楽浪国王の崔理の娘を妻とするに当たって、楽浪国の宝である角笛・太鼓（敵が寄せると自然と鳴るというもの）を壊すことを促した。娘がこれらを壊した事を聞いた後、好童は大武神王に今こそ楽浪国に攻め入る好機と勧め、王は楽浪国に攻め入った。宝器が鳴らなかったために軍備を怠った楽浪王は突然城下に迫った高句麗軍を見て驚き、宝器が壊されていることを知って娘を殺し、城を出て降伏した。このような話が『三国史記』には記されており、王子と楽浪王の姫との恋の話として今に知られているという。

『後漢書』によれば32年に後漢に朝貢を行い、光武帝より名を下句麗から高句麗に、侯から王に戻されている。