夢精
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夢精(むせい)は、男子が睡眠中に性的な夢を見ることによって性器が勃起し、射精に至る現象や、睡眠中に性的な夢を見ていないのに射精に至る現象をいう。だが、後者の場合に限っては語弊も有り得るので、夜間遺精ともいう。精子の生産が盛んになる10~15歳くらいの思春期の男子に多く見られ、生産過剰になった精子、あるいは一時的な疾病によって受精能力の低下した「不良品」の精子を体外へ放出しようとする自然の働きである。ただし、具体的にどのような生理的メカニズムによってこの現象が引き起こされるのかはよく分かっていない。
男女に関わらず(また男性であっても射精の有無に関わらず)オーガズムを伴う夢を見ることがある。そのような現象を性夢と呼ぶことがある。夢精とは射精を伴う性夢の特別な呼称であるということもできる。
正しい知識のない青少年は病気になったのかと心配することがあるが、きわめて健全に発育している証拠であり、まったく心配はいらない。
思春期の時期は夢精も多く、不快感防止のため生理用ナプキンを使用することがあり、男性が使ってもおかしくはない。
夜間遺精が起きる原因は、自慰をしたことがない人が精液を出そうと眠っているときに脳が反応して射精されること。だから、性的な夢を見ていないのに夢精することはおかしくないし、中学生や高校生になってもまだ射精したことがない人は、眠っているときにいつ夜間遺精をしてもおかしくない。
初めての射精を精通と呼ぶが、以前は夢精や夜間遺精で精通を経験する比率が圧倒的に高かった。しかし近年は性情報の氾濫によりマスターベーションを覚える年齢が低年齢化しており、夢精を経験せずにマスターベーションを始めるケースも多い。一般的にマスターベーションを頻繁に行うと夢精を経験する割合が下がり、年齢とともに少なくなっていくのが普通である。一説には、成長に伴い過剰な精子を排尿時に一緒に排出する能力が備わるため、夢精によって精子を排出する必要が無くなるからと言われる。
夢精の起こりやすい男性、起こりにくい男性がいる。これは体質であると言われるが、現在(2005年)のところ夢精の具体的なメカニズムが不明であるため、医学的な説明は不可能である。仮に夢精のメカニズムが医学的に解明されれば、人為的に夢精を引き起こすことが可能になると考えられるが、今のところ、そのようなことは行われていないようである。
一説として疲労やストレスが溜まっている際にも、筋肉の硬直から引き起こされやすい。
夢精の時に見る夢は覚えていないことも多いが、本人が潜在的に持っている性的願望の現れであると考えられる。夢精時には極度の興奮により性器に物理的刺激を与えることなしに射精が起こるのが特徴である。一度夢精を経験すると性的快感に目覚め、マスターベーションへとつながっていくことが多い。