夢幻戦士ヴァリス
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夢幻戦士ヴァリス | |
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ジャンル | 横スクロールアクション |
対応機種 | PC-8801(mkIISR以降) PC-9801 X1 FM77 MSX ファミリーコンピュータ[FC] メガドライブ[MD] PCエンジン(スーパーCD-ROM²) Windows98~XP Vアプリ(v) |
開発元 | 日本テレネット・ウルフチーム[PC-88・PC-98他] アールフォース・エンターテインメント(v) |
発売元 | 日本テレネット[PC-88・PC-98他] 日本テレネット・RIOT[MD・PCE] 徳間書店[FC] バンダイネットワークス(v) |
人数 | 1人 |
メディア | 5インチFD[PC-88・X1・FM77] 3.5インチFD[PC-98] ROMカートリッジ[MSX・FC・MD] CD-ROM[PCE] ダウンロード[Win](v) |
発売日 | 1986年12月PC-88・X1・MSX 1987年3月PC-9801・FM-77 1987年8月21日FC 1991年12月27日MD 1992年3月19日PCE 2002年9月1日Win 2005年5月18日Vアプリ |
価格 | 7,800円[PC-98他] 5,500円[FC] 8,400円(税抜)[MD] 6,980円(税抜)[PCE] 800円(税込)[Win]※ 525円(税込)(v)※ ※はダウンロード販売 |
夢幻戦士ヴァリス(むげんせんし-、Valis: The Fantasm Soldier)は、1986年に日本テレネットが発売した、横スクロールアクションゲーム。開発は同社・ウルフチーム。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
パソコン雑誌・LOGiNが主催した、ゲームオリンピック(各ゲームメーカーが製品以外のゲームソフトを作成して技術力とアイデアを競う企画)に参加する為、日本テレネット社内で秋篠雅弘ら有志により極秘に開発されていた「スケ番不良伝説」が元になっている。スクロール描画速度を確保する為に、RGB3プレーンのうち2枚だけを使用する4色カラーのゲームであったが、社の幹部の知るところとなり、正規の製品として昇格して新たに開発を続けることになった。
こうしてできた作品が第1作の『夢幻戦士ヴァリス』(PC-8801mkIISR以降用)である。8色フルカラーグラフィックによるスクロールを滑らかに実行する為に、動作するのはハードウェアグラフィック処理が搭載されているmkIISR以降用に限定されていた。
ゲームの主人公である麻生優子のファンクラブが結成されるほど人気を集めたためシリーズ化され、多くの機種に移植された。デザイン画が事故によって失われたため、1作ごとにキャラクターデザインが異なっている。
[編集] ストーリー
普通の女子高生だった優子は夢幻界・ヴァニティの女王ヴァリアによって「ヴァリスの戦士」に指名された。優子の使命はヴェカンティの支配者・ログレスとその部下である4人のヴォーグを倒し、5個の「ファンタズム・ジュエリー」を取り戻すこと。
優子は戸惑いながらも戦いの中でヴァリスの力に目覚め、ログレスの野望を挫く為に夢幻界を駆け抜ける。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
声優はPCエンジン版など、一部機種と後のシリーズ作ではキャスティングが異なる。
- 3サイズ B81 W61 H85
- 普通の女子高生だったが、その普通さを理由にヴァリアから「ヴァリスの戦士」に指名される。
- ヴァリア 声:榊原良子
- 夢幻界・ヴァニティの女王。ログレスの野望を阻止すべく、優子を「ヴァリスの戦士」に指名する。
- 魔王ログレス 声:小林清志
- 暗黒界・ヴェカンティの支配者。「戦士の力」を秘めた「ファンタズム・ジュエリー」を奪い、4人の部下に分け与える。
- メガス 声:鈴置洋孝
- 魔王ログレスの兄。IIのラスボス
- 桐島 麗子(きりしま れいこ) 声:三田ゆう子
- 3サイズ B78 W60 H82
- 優子の親友だが、暗黒界の戦士となり、優子の前に立ちはだかる。II以降では優子に協力する。
- II以降に登場するキャラクター
- チャム 声:三田ゆう子
- 3サイズ B82 W58 H85
- もともと暗黒界の人間ながら優子に手を貸す少女。
- ヴァルナ声:島津冴子
- 3サイズ B86 W60 H86
- ヴァリアの娘。夢幻界の為に優子に協力する。実は優子の妹。
- 残忍将メガス声:本田啓吾
- ログレスの部下ながら残忍とつくだけあって、卑劣極まる策略が彼の武器。ログレスに対する忠誠も何か怪しい。
- 破壊将グラメス 声:事務台車
- ヴェカンティ一の剣士でログレスの部下。チャムが目標としている人物。
[編集] 機種別の相違点
現在、PC-8801版・MSX版及びメガドライブ版はプロジェクトEGGまたはセガゲーム本舗のダウンロード販売でそれぞれプレイ可能となっている。
- MSX版
- 容量の制約上、同時発売のPC-8801・X1版に収録されているビジュアルシーンがすべて省略されている。そのためストーリーがまったくわからないのは唯一MSX版だけである。キャラクターは主人公以外は単色スプライトで非常に静止画の見栄えは悪い。ただし、各種パソコン版とは違いそのスプライトによる滑らかな動きのおかげでアクションゲームとしての出来は一番よい。
- ファミコン版
- ひたすら先へ進む単純明快な横スクロールアクションのオリジナルから一転してアクションRPG的な要素が強くなっている(これは本作に限ったことではなく、PC用ゲームタイトルをFCで発売するに際して大幅な改変が加えられ、全く別のゲームと言っていい内容に仕上がることは珍しくなかった。本作以外ではファザナドゥ・エリュシオンなど)。マルチエンディング方式の採用など意欲的な趣向も多いが、マップの構造が複雑なうえヒントも少ないとあって発売時の評価は非常に厳しいものであった。もっとも、ソフトと同じ徳間書店から発売された攻略本はストーリー背景の説明が充実しており、評価が高い。
- 夢幻戦士ヴァリス完全攻略本 1987年9月初版 ISBN 4197235097
- メガドライブ版
- メガドライブでの発売は『ヴァリスIII』(1991年3月22日発売)の後だった。アクションの難易度は全機種中最も高いとされる。
- PCエンジン版
- メガドライブ版と同様、発売順序は『夢幻戦士ヴァリスII]』(1989年7月31日発売)→『ヴァリスIII』(1990年9月7日発売)の後だった。II・IIIで好評だったアニメーション形式のビジュアルシーンを導入した「決定版」的な内容に仕上がっている。
[編集] 後のゲームへの影響
本作の発表時、ファンタジー系の漫画やアニメ等に登場する女戦士はビキニ状の胸と腰しか覆われていない露出度の高い鎧を着けていることが多かった(俗にビキニ鎧と呼ばれる)。例えば、1985年に発売されたOVA『幻夢戦記レダ』などはその典型的な例であろう。
ゲーム業界でもSNKより1986年に発売された『アテナ』もまた、ビキニ姿の美少女が剣を持って戦うという内容であった。本作のヒットとシリーズ化は、その「ファンタジー=ビキニ鎧」というイメージをゲーム業界に定着させるものであった(鎧としてはあまりにも非実用的でセックスアピールが露骨過ぎるため、2006年現在ではアダルト系フィクション作品くらいにしかビキニ鎧は登場しなくなっている)。
その一方で一見、軟派なイメージとは異なりステージ間のビジュアルシーンにおいて語られる作品テーマは非常に重いもので、この二面性の絶妙なミックスが有ってこそプレイヤーに強い印象を与えることに成功しており、同時に本作が他社の亜流作品と一線を画す要因にもなっている。
特に、PCエンジン版はCD-ROM採用のメリットを活用し、ビジュアルシーンでのアニメーションや声優の起用は後のゲーム開発における手法を先取りしたものと言え、その点からも本作が後に「ギャルゲーの始祖」と呼ばれるようになったことも頷けるところである。
また、本作ではPC-8801版から当時のゲームでは珍しいサウンドテストモードが採用されている。
[編集] シリーズ作品一覧
- 夢幻戦士ヴァリス
- 夢幻戦士ヴァリスII(1989年7月31日)
- メガドライブでは『SDヴァリス』
- ヴァリスIII(1990年9月7日)
- ヴァリスIV(1992年)
- スーパーファミコンでは『SUPERヴァリス 赤き月の乙女』
- 全5部作(予定)のアダルトゲーム。日本テレネットが運営するダウンロード販売サイト「BB5」で4月より順次リリースされる。
- 漫画作品
- 夢幻戦士ヴァリス
- 『ヴァリスX』発売に連動してキルタイムコミュニケーションが発刊する一般の漫画雑誌『コミックヴァルキリー』(同社の二次元ドリームノベルズより派生)でコミカライズ(作画:ZOL)された。
[編集] 『ヴァリスX』を巡る議論
ヴァリスはヒロインのコスチュームのセックスアピールが強い為、ファンらによってヒロインが性的に蹂躙されることを主題としたアンオフィシャルのパロディが同人誌および同人ゲームで作成されることが多かったが、発売元である日本テレネットは性的内容を含まないソフト路線のシリーズを長らく継続していた。
しかし、最終作であるIVの発売から14年が経過した2006年2月、日本テレネット自身がアダルトゲームである『ヴァリスX』(5部作)を発表したことは往年のファンに大きな衝撃をもたらした。また、1986年の第1作発売時に原案・キャラクターデザインを担当したPiXELは(職務著作のため法律上、無権限であることは否定しないながらも)自身のサイトに設置している掲示板上で日本テレネットの姿勢に対して強い不快感を示した。
なお、「ヴァリスX」は2006年4月(日本テレネットが運営しているBB5では3月に発売)に第1作「ヴァリスX~優子・もうひとつの運命~」が発売されたのを皮切りに8月まで毎月1作が発売される予定。9月に1~5作のフルセット版と各話ごとのCD-ROM版が発売された。
[編集] 関連項目
- アルバトロス(日本テレネットのゴルフゲーム。PCエンジン版「スーパーアルバトロス」に優子がキャディで登場する)
- なりトレ ~ザ・スゴロク'92~(日本テレネットのボードゲーム。優子がプレイヤー(すごろくのコマ)の1人で登場する。機種はPCエンジン)
- あーくしゅ(ウルフチームのアドベンチャーゲーム。優子と麗子をパロディ化したU子と0子というキャラクターが登場する。)
- 秋篠雅弘(ゲームデザイン・プログラマー、ウルフチーム代表)
- 庵野秀明(ファミリーコンピュータ版プロモーションフィルム監督)
- 西島克彦(同・キャラクターデザイン)
[編集] 外部リンク
- ファミコン版
- White Diary(「ぬるゲーマー日記」にファミコン版の攻略記事アリ)
- Vアプリ版
- 18禁パソコン版
- 漫画版
- KTC - KILL TIME COMMUNICATION
- コムテグ 18歳未満閲覧厳禁(漫画版の作者ZOL氏のサイト)