垂れ (部首)
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漢字の上部から左下へ垂れ下がるように存在するのが特徴。
一般的に「厂(がんだれ)」「广(まだれ)」「尸(しかばね)」「疒(やまいだれ)」の 4 種の部首が垂れと呼ばれる。また、「戸(とだれ)」は冠に属させる辞書も存在し、位置付けが曖昧。似た位置に存在する「虍(とらがしら・とらかんむり)」は、垂れではなく冠(かんむり)に属する。
垂れに属する漢字は、常用漢字 1945 字のうち 47 字(がんだれ 4 字・まだれ 17 字・しかばね 14 字・やまいだれ 12 字)。人名用漢字285 字のうち 1 字(まだれの「庄」のみ)。
[編集] 主な垂れ
- がんだれ:「厄」「原」など。厂はがけを描いたもの。崖に関する漢字に使われる。なお、部首名のがんだれは雁垂と書くが、「雁」はふるとり(旁)の部に含まれる。
- やまいだれ: 「病」「疾」「痛」など。病気に関する漢字に使われる。常用漢字数は 12 で、垂を持つ漢字では最も字数が多い。
- 常用漢字: 疫 疾 症 疲 病 痛 痘 痢 痴 療 癖 癒
- 主な表外字: 疚 疵 疽 疹 疸 疼 痍 痕 痔 痒 痙 痣 痰 痺 瘍 痩 癇 癌 癪 など
- しかばね: 「履」「尾」「屋」など。尸は人間の後部を描いたもので、人間の体を表すことが多い。だが例外も多く、字の成り立ちによっては尸は垂れ下がる布を示したり、建物の屋根を示したりしているため、便宜上分類のための部首ともいえる。常用漢字数は 14。
- 常用漢字: 尺 尼 尽 局 尿 尾 居 屈 届 屋 展 属 層 履
- まだれ: 「広」「府」「庁」など。家に関する漢字に使われる。常用漢字数は 17。漢字では麻垂と書くが、麻はまだれには含めず、単独の部首を持っている。
- 常用漢字: 広 庁 序 床 底 店 府 度 庫 座 庭 康 庶 庸 廃 廊 廉
- とだれ:「戻」「扇」など。戸に関する漢字に使われる。また、冠に属する場合も見られ、はっきりと垂と言えない。