半落ち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
半落ち
- 警察用語。
- 横山秀夫の小説作品。またそれを原作とする映画。本項で解説。
半落ち(はんおち)とは、横山秀夫の小説作品。またそれを原作とする佐々部清監督の映画作品である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
警察官、志木和正は、連続少女暴行事件の捜査に当たっていた。 犯人確保の電話を待つが、その電話の内容は、「現職警察官による、妻の殺人の取り調べ」の依頼だった。 自首してきた犯人、梶聡一郎は、事件の動機、経緯についてすべて正直に話し、「完落ち」で終わるかに見えたが、事件後の「空白の二日間」についての証言を一切拒否する。 その一方、家宅捜索と新聞社によって、梶聡一郎は、歌舞伎町へ行ったらしい事がわかった。 「空白の二日間」の供述をじっくりと取ればよい。と考えていた志木和正は、上層部の保身のために、梶聡一郎に、うその証言をさせるよう強制させられる。
事件は検察にまわされ、志木と面識もある佐瀬銛男は、供述が捏造であることを見抜き、 警察の調査を進めようとする。志木に捜査を託された佐瀬は、検察による家宅捜索を行うが、不利な物証はすでに持ち去られた後だった。いよいよ警察本部の調査に乗り出そうとしたとき、横領で逮捕されていた検察上層部の人間が、置き引きも行っていたことが判明。警察は、検察官が行っていた横領を見逃す代わりに、供述を認めるように取引を持ちかけ、検察は応じた。これにより佐瀬の努力は闇に葬られる。
偶然にも佐瀬の口論を聞いてしまった中尾は、独自に調査を開始し、梶聡一郎の「空白の二日」を説明するための情報を集め始める。駆け引きの末、ついに、一大スクープを得たが、警察、検察の隠蔽にあい、立ち消えとなってしまう。
佐瀬と同級生の植村学は、被害者の姉である島村康子に、梶の弁護を引き受けたいと持ちかける。その裏には『人権派で名前を挙げたい』という考えがあった。 梶聡一郎の私選弁護人となった植村は、島村から梶聡一郎は歌舞伎町に行ったことをつかむが、梶聡一郎からは証言を得ることができなかった。この不完全な証言では不利になると考えた植村は、島村の証言を公表しなかった。
事件から時間がたち、事件も忘れ去られた時、裁判官の藤林圭吾は、この事件の担当になる。 警察発表に疑念を持ちつつ、初公判に望むが、警察、検事、弁護士までが、「空白の二日間」について口をつぐんでいた。現実に藤林は驚愕するが、高名な裁判官だった父もアルツハイマーに侵されており、梶の妻のように「自分がまともなうちに殺してくれ」と、妻に頼んでいたことを知る。藤林は、佐瀬の厳しい糾弾にもかかわらず、懲役4年という短い求刑を受諾することにした。
定年間近の刑務官古賀誠司は、新しく迎えたおかしな受刑者、梶聡一郎の処遇に困っていた。そこに志木という男からたびたび電話が入るようになる。そして遂に志木は、「人生五十年」の謎の解明に成功する。
[編集] 出演者
- 梶聡一郎(寺尾聡) 元県警の警部
- 梶啓子(原田美枝子) 聡一郎の妻
- 藤林圭吾(吉岡秀隆) 裁判官特例判事補
- 奥貫薫 藤林の妻
- 井川比佐志 看守
- 本田博太郎 裁判長
- 中尾洋子(鶴田真由) 新聞記者
- 佐瀬銛男(伊原剛志) 検事
- 植村学(國村隼) 弁護士
- 植村亜紀子(高島礼子) 学の妻
- 高木ひさ江(奈良岡朋子) 医師
- 島村康子(樹木希林) 梶啓子の姉
- 志木和正(柴田恭兵) 県警捜査一課強行犯係指導官(警視)
- 岩本多代
- 斉藤洋介
- 田山涼成
[編集] スタッフ
- 企画:坂上順、近藤邦勝
- 脚本:田部俊行、佐々部清
- 音楽:寺嶋民哉
- 撮影:長沼六男
- 美術:山崎秀満
- プロデューサー:中曽根千治、小島吉弘、菊地淳夫、濱名一哉、長坂勉
- 製作:「半落ち」製作委員会(東映、TBS、住友商事、東京都ASA連合)
[編集] 主題歌
- 『声』歌:森山直太朗
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 映画関連のスタブ項目 | 日本の映画作品 | 2004年の映画