区議会 (香港)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
区議会は、香港の地方議会である。1982年に設立された。現在、18区議会が設置されている。任期は4年。英文名称は当初、District Boardとされた。その後、1999年末の市政局および区域市政局の廃止に伴い、現在のDistrict Councilに改称された。
目次 |
[編集] 性格と権限
区議会は、予算の承認や条例の制定といった議会に必要な権限をもっていない。公共施設(文化や娯楽)・サービスの運営や都市計画などに関して、政府に意見を陳述する程度の機能しか与えられていない。
そもそも、区は自治体や地方政府ではない。区の区分は、区議会の設置に伴って行われた。香港政府は区の分割や合併を行う事が出来る。区議会に対応する行政側の組織は、各区の民政事務処である。これは、香港政府民政事務局が管轄する執行部門である民政事務総署の出先機関である。民政事務処のトップである民政事務専員が地区運営委員会を主催している。区議会の正副主席も一メンバーとして参加し、政府と区議会の意見交換が行われる。
[編集] 議員の選出方法
区議会の設立と同時に21歳以上の香港市民に選挙権が与えられ、区議会選挙が実施された。民選議員は現在、小選挙区制により選出されている。過去には特殊な中選挙区制(一選挙区2名当選。有権者は2表投票)で選出された。全区議会で400名おり、最も多い。
しかし、選挙によって選ばれる民選議員のほかに、委任(任命)議員や当然(兼職)議員も存在する。委任議員は1995年、パッテン改革により一度廃止された。しかし、返還後に復活し、現在は102名いる。当然議員は、新界原居民の議会組織である郷事委員会が互選によって選出した代表(全区議会中27名)である。
立法会に比べると、区議会は比較的民主化が進んでいる。ただし、香港全体の政治に対する影響力は皆無である。また、選挙区は1万7千人を基準人口として設置されている。つまり、大きな団地一つ分が一選挙区となり、区議会議員は住民との物理的な距離が極めて近い。そのため、政治的イデオロギーを棚上げして、身近な生活問題を争点としやすい。また、有権者は民主化に積極的な民主派を必ずしも選択するとは限らない。その結果、区議会においては、左派労働組合を基盤とする民主建港聯盟の勢力も比較的強い。ただし2003年の区議会選挙では、香港基本法23条に基づく治安条例制定の動きが有権者の反感を買い、左派が大敗し、民主党など民主派の圧倒的な勝利となった。