北陸鉄道石川線
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石川線(いしかわせん)は、野町駅(石川県金沢市)~加賀一の宮駅(石川県白山市)間を結ぶ北陸鉄道の鉄道路線。
かつては、鶴来駅で分岐する能美線や金名線と直通運転を行い、3線をまとめて石川総線と呼んでいたが、能美線及び金名線加賀一の宮駅~白山下駅間は1980年代に廃止されている(鶴来駅~加賀一の宮駅間は1929年に石川線に編入)。その名残で、その後も石川線のことを指して「石川総線」と言うことがある。
目次 |
[編集] 路線データ
[編集] 運行形態
すべて各駅に停車する普通列車で、野町駅から加賀一の宮駅まで運転の列車と、鶴来駅折り返しの列車が概ね交互に運行されている(昼間は32分間隔)。所要時間は野町~鶴来間が約30分、野町~加賀一の宮間が約35分である。
2006年11月30日までは、昼間時間帯に野町~鶴来間で準急列車も運転されていた。準急は交換設備のアンバランスによる運行時隔是正を主目的として運行され、押野駅、野々市駅、曽谷駅、小柳駅を通過し、所要時間は野町~鶴来間が約25分であった。以前は金沢市内バスとの競合回避や速達サービス提供を目的に、日中は全列車が準急列車として運行された時期もあった。
[編集] 利用状況
[編集] 輸送実績
石川線(石川総線)の近年の輸送実績を下表に記す。輸送量は減少している。 表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最低値を青色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 輸送実績(乗車人員):万人/年度 | 特 記 事 項 | |||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 合計 | ||
1977年(昭和52年) | 70.9 | 87.8 | 132.8 | 291.5 | |
1978年(昭和53年) | 70.4 | 84.4 | 126.4 | 281.3 | |
1979年(昭和54年) | 64.9 | 79.8 | 125.9 | 270.8 | |
1980年(昭和55年) | 65.2 | 75.5 | 134.3 | 275.2 | 能美線廃止 |
1981年(昭和56年) | 60.1 | 74.9 | 125.7 | 260.8 | |
1982年(昭和57年) | 57.4 | 73.9 | 130.5 | 261.8 | |
1983年(昭和58年) | 55.1 | 78.3 | 129.6 | 263.0 | |
1984年(昭和59年) | 49.6 | 67.0 | 112.1 | 228.8 | 金名線休止 |
1985年(昭和60年) | 46.2 | 69.4 | 111.3 | 226.9 | |
1986年(昭和61年) | 40.9 | 70.1 | 102.0 | 213.0 | |
1987年(昭和62年) | 37.8 | 61.7 | 94.2 | 193.7 | 金名線廃止 |
1988年(昭和63年) | 41.2 | 64.8 | 93.8 | 199.8 | |
1989年(平成元年) | 40.3 | 62.8 | 88.5 | 191.6 | |
1990年(平成2年) | 40.1 | 66.0 | 88.8 | 194.9 | 冷房電車導入 ワンマン運転開始 |
1991年(平成3年) | 38.6 | 71.1 | 86.9 | 196.6 | |
1992年(平成4年) | 35.8 | 69.0 | 87.6 | 192.4 | |
1993年(平成5年) | 35.9 | 64.9 | 90.0 | 190.8 | |
1994年(平成6年) | 34.0 | 64.1 | 87.3 | 185.4 | |
1995年(平成7年) | 30.7 | 70.2 | 89.4 | 190.3 | |
1996年(平成8年) | 30.8 | 70.2 | 90.2 | 191.2 | |
1997年(平成9年) | 31.0 | 68.0 | 84.7 | 183.7 | |
1998年(平成10年) | 27.1 | 62.0 | 79.6 | 168.7 | |
1999年(平成11年) | 24.1 | 55.6 | 78.7 | 158.4 | |
2000年(平成12年) | 22.4 | 52.0 | 73.2 | 147.6 | |
2001年(平成13年) | 20.9 | 51.6 | 66.9 | 139.4 | |
2002年(平成14年) | 22.0 | 53.0 | 70.3 | 145.3 | |
2003年(平成15年) | 21.4 | 50.0 | 71.5 | 142.9 | |
2004年(平成16年) | |||||
2005年(平成17年) | |||||
2006年(平成18年) |
[編集] 収入実績
石川線(石川総線)の近年の収入実績を下表に記す。旅客運賃収入は1996年(平成8年)以降減少している。運輸雑収については年度による変動が大きい。 表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最低値を青色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 旅客運賃収入:千円/年度 | 運輸雑収 千円/年度 |
総合計 千円/年度 |
||||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 手小荷物 | 合 計 | |||
1977年(昭和52年) | 169,676 | ←←←← | 219,637 | 5,197 | 394,511 | 7,877 | 402,388 |
1978年(昭和53年) | 186,152 | ←←←← | 236,167 | 4,205 | 426,525 | 6,469 | 432,995 |
1979年(昭和54年) | 186,684 | ←←←← | 248,816 | 3,354 | 438,854 | 8,012 | 446,867 |
1980年(昭和55年) | 181,131 | ←←←← | 253,878 | 3,010 | 438,020 | 7,876 | 445,897 |
1981年(昭和56年) | 171,283 | ←←←← | 236,236 | 2,313 | 409,833 | 8,339 | 418,173 |
1982年(昭和57年) | 166,321 | ←←←← | 246,498 | 1,824 | 414,643 | 8,944 | 423,587 |
1983年(昭和58年) | 179,543 | ←←←← | 259,897 | 1,520 | 440,960 | 8,326 | 449,286 |
1984年(昭和59年) | 179,877 | ←←←← | 247,640 | 829 | 428,346 | 9,039 | 437,386 |
1985年(昭和60年) | 185,521 | ←←←← | 252,855 | 666 | 439,042 | 9,676 | 448,718 |
1986年(昭和61年) | 190,391 | ←←←← | 246,148 | 699 | 437,238 | 11,110 | 448,348 |
1987年(昭和62年) | 71,659 | 106,422 | 232,011 | 479 | 410,571 | 9,884 | 420,455 |
1988年(昭和63年) | 80,292 | 115,448 | 236,461 | 521 | 432,722 | 8,553 | 441,275 |
1989年(平成元年) | 78,842 | 113,146 | 230,245 | 542 | 422,775 | 9,047 | 431,822 |
1990年(平成2年) | 81,147 | 122,968 | 238,167 | 546 | 442,828 | 11,460 | 454,288 |
1991年(平成3年) | 79,022 | 132,356 | 234,712 | 556 | 446,646 | 9,500 | 456,146 |
1992年(平成4年) | 73,665 | 128,487 | 235,625 | 489 | 438,266 | 11,038 | 449,304 |
1993年(平成5年) | 72,695 | 119,358 | 241,428 | 482 | 433,963 | 13,150 | 447,113 |
1994年(平成6年) | 69,360 | 117,337 | 232,624 | 416 | 419,737 | 13,374 | 433,111 |
1995年(平成7年) | 61,983 | 127,179 | 238,775 | 423 | 428,360 | 14,168 | 442,528 |
1996年(平成8年) | 62,227 | 127,509 | 242,191 | 410 | 432,337 | 12,723 | 445,060 |
1997年(平成9年) | 61,999 | 123,063 | 226,778 | 19 | 411,859 | 12,286 | 424,145 |
1998年(平成10年) | 55,347 | 113,815 | 213,132 | 19 | 382,313 | 13,430 | 395,743 |
1999年(平成11年) | 48,985 | 101,952 | 209,705 | 19 | 360,661 | 12,664 | 373,325 |
2000年(平成12年) | 45,842 | 95,555 | 195,868 | 17 | 337,282 | 11,528 | 348,810 |
2001年(平成13年) | 42,937 | 93,641 | 180,309 | 19 | 316,906 | 11,184 | 328,090 |
2002年(平成14年) | 44,625 | 96,332 | 189,218 | 24 | 330,199 | 9,178 | 339,377 |
2003年(平成15年) | 44,940 | 90,885 | 193,707 | 26 | 329,558 | 111,104 | 440,662 |
2004年(平成16年) | |||||||
2005年(平成17年) | |||||||
2006年(平成18年) |
[編集] 現有車両
[編集] 電車
- 7000系(10両)
- 元東京急行電鉄の7000系電車で、1990年7月25日付で竣工した。
- 導入にあたって、1500Vから600Vへの降圧改造が実施され、2両編成で運用する事を前提に1両(奇数車)をモーター無しの制御車(クハ)に、もう1両(偶数車)をモーター付の制御電動車(モハ)としている。台車を電動車は西武のFS-342、制御車は国鉄/JRの101系のDT21TまたはTR64に交換し、主制御器や電動発電機、抵抗器などが交換されている。また、回生ブレーキと弱め界磁機能が搭載されていたが、機器交換に伴い撤去されている(101系由来の機器でも発電ブレーキは使用していない)。
- 2両編成5本の計10両が在籍しており、冷房搭載の有無、先頭車化改造の有無により3つのグループに分かれる。
- 7001+7011:オリジナルの先頭車。冷房装置非搭載。
- 7101+7111,7102+7112:オリジナルの先頭車。冷房装置搭載。
- 7201+7211,7202+7212:中間車の先頭車化改造車。冷房装置搭載。
- 7700系(2両)
- モハ3750形(1両・3752)
[編集] 電気機関車
- ED20形(1両・ED201)
- 1931年木南車輛製の凸型電気機関車で、当初は金沢電気軌道ED1であったが、1949年に自重20tであったため現形式番号に改められた。1953年にモーターを交換、1962年に機器室を延長し、1986年には排雪器(スノープラウ)か取り付けられた。除雪用に使用されている。
- ED30形(1両・ED301)
- 北陸鉄道が新製した唯一の電気機関車で、デッキ付き箱形車体を持つ。1954年東洋電機製である。1994年に老朽化した台車、モーターを7000系と同等のものに更新している。更新前の台車は、国鉄キハニ36450形の流用という貴重なものであった。1976年4月の貨物廃止後は、主に除雪用に使用されている。
[編集] ディーゼル機関車
- DL1形(1両・DL11)
- 1966年富士重工業製の軌道モーターカー。以前は保線列車や除雪に使用されたが、現在は構内入換用となっている。
- DL3形(1両・DL31)
- 1979年に国鉄から払い下げを受けたロータリー式除雪車。L型の車体で、運転台側にロータリーヘッド、機器室側にラッセルヘッドを装着している。
[編集] 貨車
- ホム1形(1両・ホム1)
[編集] 過去の車両
[編集] 電車
- モハ5100形(3両・5101~5103)
- 1951年に登場した車体長17m級2扉の両運転台車。3両が製造されたが1969年に5101が浅野川線に転出、5102,5103が1971年に制御方式が変更されてモハ3760形(3761,3762)となり、1985年から翌年にかけて車体更新が行われた。7000系入線により3762が浅野川線に転出してクハ1301となったが、1996年の架線電圧1500ボルト化で5101とともに廃車になり、石川線に残っていた3761も2006年の7700系入線に先立って能美市に無償譲渡されるため11月に搬出され、生え抜きが姿を消した。現車は旧能美線辰口温泉駅の近くに周囲をフェンスで囲われて保管されているが、2007年度に上屋の設置を含めて整備される予定。
[編集] 歴史
- 1915年6月22日 石川電気鉄道が新野々市駅(現:西金沢駅)~鶴来駅間(762mm軌間・蒸気動力)を開業
- 1915年6月30日 石川電気鉄道が石川鉄道に改称
- 1916年12月1日 上野々市駅(初代)開業。
- 1921年8月1日 1067mmに改軌、直流600V電化
- 1922年10月1日 西金沢駅(後に白菊町駅に改称)~新野々市駅間の金沢電気軌道線(馬力)が1067mmに改軌・電化され、石川鉄道線と直通運転を開始
- 1923年5月1日 金沢電気軌道が石川鉄道を買収
- 1925年10月1日 西金沢駅を白菊町駅に、新野々市駅を新西金沢駅に、上野々市駅(初代)を野々市駅に改称。
- 1927年12月28日 金名鉄道が鶴来駅~神社前駅(現:加賀一の宮駅)間(1067mm軌間・蒸気動力)を開業。金沢電気軌道中鶴来駅開業。
- 1929年3月11日 金名鉄道・鶴来駅~神社前駅間を金沢電気軌道に譲渡
- 1929年9月14日 鶴来駅~神社駅間を電化
- 1931年8月11日 上野々市駅(2代)開業。
- 1934年12月1日 西泉駅開業。
- 1935年3月2日 粟田駅開業。
- 1937年12月8日 神社前駅を加賀一の宮駅に改称。
- 1941年8月1日 北陸合同電気(現在の北陸電力)設立。金沢電気軌道を合併
- 1942年3月26日 北陸合同電気から交通部門を分離して(旧)北陸鉄道を設立
- 1943年10月13日 (旧)北陸鉄道・金石電気鉄道・温泉電軌・金名鉄道・能登鉄道ほかが合併して北陸鉄道設立。同社の石川線となる
- 1944年10月23日松金線野町駅~野々市駅間廃止に伴い松金線との直通運転を開始
- 1949年6月2日 能美線との直通運転を開始
- 1963年4月11日 上野々市駅(2代)を工専前駅に、粟田駅を乙丸駅に改称。
- 1965年7月15日 大額駅を額住宅前駅に改称。
- 1966年9月15日 工専前駅を野々市工大前駅に改称。
- 1970年4月1日 白菊町駅~野町駅間の旅客営業を廃止、貨物列車のみの運行となる。
- 1972年9月20日 白菊町駅~野町駅間廃止
- 1976年4月1日 貨物営業廃止。
- 1980年9月14日 能美線廃止
- 1984年12月12日 金名線休止
- 1987年4月28日 金名線廃止
- 1990年7月24日 ワンマン運転開始
- 2002年 ATS使用開始。
- 2006年12月1日 準急列車を全廃し、全列車普通とする
[編集] 駅一覧
- すべて普通列車。各駅に停車
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | ||
---|---|---|---|---|---|
廃止区間 | |||||
白菊町駅 | 0.8 | 石川県金沢市 | |||
営業中の区間 | |||||
野町駅 | 0.0 | 北陸鉄道:金沢市内軌道線(1967年まで)・松金線(1944年まで) | 石川県 | 金沢市 | |
西泉駅 | 1.0 | ||||
新西金沢駅 | 2.1 | 西日本旅客鉄道:北陸本線(西金沢駅) | |||
押野駅 | 3.4 | 石川郡野々市町 | |||
野々市駅 | 4.0 | 北陸鉄道:松金線(1955年まで) | |||
野々市工大前駅 | 4.5 | ||||
馬替駅 | 5.5 | 金沢市 | |||
額住宅前駅 | 6.1 | ||||
乙丸駅 | 6.8 | ||||
四十万駅 | 8.2 | ||||
曽谷駅 | 9.3 | 白山市 | |||
道法寺駅 | 9.9 | ||||
井口駅 | 10.7 | ||||
小柳駅 | 11.4 | ||||
日御子駅 | 12.1 | ||||
鶴来駅 | 13.8 | 北陸鉄道:能美線(1980年まで) | |||
中鶴来駅 | 14.6 | ||||
加賀一の宮駅 | 15.9 | 北陸鉄道:金名線(1987年まで) |
接続路線欄の灰色文字は過去の接続路線