割箸
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割箸、割り箸(わりばし、英語 Disposable chopsticks)とは、使い捨てで用いる箸のことである。材質は木もしくは竹でできていることが多い。
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[編集] 特徴
割箸には次のような特徴がある。
- 使い捨てであるため、清潔・衛生的である。
- 洗浄の手間が不要であるため、人件費が抑えられる。
- 麺類などを食べるとき、塗り箸などよりも滑りにくく、食べ物を確実に保持できる。
- りんご飴に刺したり、綿菓子を巻き付けるなどにも使え、大きめの食品を保持する場合、串よりも丈夫であり、確実に保持できる。
[編集] 歴史
[編集] 種類
[編集] 形状
- 元禄
- 四方の角を切り落とし、割れ目にも溝を入れて割り易くしたもの。箸の先の断面を見ると、六角形が 2つ並んでいるように見える。
- 天削(てんそげ)
- 箸の持ち手側の先の片側を斜めに削ぎ落した形状をしたもの。箸の先を丸く加工したものが多い。
- 利久
- 千利休が考案したとされる卵中(らんちゅう)を元にして、後に作られた箸。箸の真中が最も太く、両端になるに従って細く削られていく。当初は利休と呼ばれていたが、「利を休む」という語呂を嫌った人々によって利久と改められたものが広まった。ただし、現在でも利休と呼んで誤りではない。
- これもまた、中溝が彫ってある。同じ形状ではじめから割ってあるものは卵中と呼ぶ。
- 丁六
- 中溝も四方の面取りもされていない最も基本的な割箸の形状。
- 小判
- 中溝は彫られていないものの、四方の角を落してあり、丁六と元禄の中間に位置するような形状をしている。
[編集] 素材
そもそもは杉や竹を用いて作られていたが、桧やエゾ松なども多く利用される。 普及品には白樺やアスペン(ホワイトポプラ)などが用いられることもあるが、アスペンには独特の匂いがある。 素材の違いにより、杉箸、竹箸、白樺箸などと呼ばれる。
[編集] 割箸と環境問題
国内産の割箸においては間伐材や木材加工時における捨てられるゴミ(廃材・残材・余材等木材として利用価値の無いもの)から割箸や爪楊枝にして販売し、その収益を植林に利用するなどしていたものであったが、海外から安い輸入品に押され、現在では、日本で使われている割り箸のほとんどは中国からの輸入品である。
輸入品の多くは、割箸などを製造するために伐採した材木を用いており、乱伐や使用後の箸の焼却によるCO2の排出など、環境問題への影響が指摘されている。中国では、輸出向けの割箸製造が増えるにつれて、自国内でも消費が増えており、生育の早い竹の利用を進めるなどの動きもあるが、皆伐が進む方向にある。
日本では、外食時にも割箸を使わず、自前の「マイ箸」を使う運動を進めている団体もある。また、韓国では自国の文化の保護とCO2排出量の抑制を目的として、割箸に多額の税金を課しているため、ほとんどの飲食店では鉄箸を洗って繰り返し使用している。
また、割箸に二酸化硫黄などの漂白剤・防カビ剤・防腐剤が多く残留しているものがあり、人体への影響も懸念されるため、厚生労働省が監視している。
[編集] 有料での提供
割箸は、日本の飲食店では、客に原則無料で提供しているが、中国の飲食店では有料の場合がある。ただし、その場合、洗って繰り返し使っている箸を用意してあり、無料で使える。 飲食店などが客に提供するために仕入れる際は、割箸は商品であり、当然有料である。
[編集] 割箸の割り方
主に次の3種類がよく見掛けられる。
- 体の前で保持し、両手で上下に広げて割る
- 体の前で保持し、両手で左右に広げて割る
- 片手で保持し、歯で片側を噛んで、片側を手で下に引っ張る
3.は、立ち食い蕎麦を食べる場合など、片手がふさがっている場合などの緊急的な場合によく行われるが、下品とされる。割った後で他人に手が当たったり、料理をこぼしたりする可能性が低い1.が最もマナーがよいとも言われる。 なお、割り口に尖った部分が残り、唇を傷つけないようにするために、両端をこする人もいる。
また、下から3センチの部分を持って割るときれいに割ることができる。
[編集] 食べ物を保持する以外の使い方
- 工作材料 - 輪ゴムと組み合わせてゴム鉄砲を作る、模型を作る、など
- 隠し芸 - 名刺で居合い切りをする、鼻に夾んでおどける、など
- 汚れ回避 - 直接手で触れたくないものをつかむ
- 炭酸ガスの放出 - グラスに注いで、炭酸ガスが抜けてきたビールやコーラなどに大量の割り箸を勢いよく入れると再び泡が出る。