出会い系サイト
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出会い系サイト(であいけいサイト)とは、インターネット、特にウェブサイトを通じて不特定の男女がナンパや出会いを目的としたやり取りをするウェブサイトの総称である。
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[編集] 歴史と概説
[編集] 日本
日本国内においては、インターネットの黎明期より早々に登場してはいたものの(立ち上がり始めたのは、1995年頃)、当時は「出会い系サイト」という名称は用いられず、元々存在する郵便などによるメールフレンドや「結婚紹介所」などの延長線という位置づけであった。
インターネット上での恋愛が大きく注目を集める原因となったのが、映画やテレビドラマなどのメディアでの「メールなどから始まる恋愛」であった。(映画『(ハル)』(1996年)、アメリカ映画『ユー・ガット・メール』(en:You've Got Mail)(1998年)やフジテレビドラマ『WITH LOVE』(1998年)など)これらのドラマや映画は一定の注目を集め、結果としてメールでの出会いから出会い専門のサイトへと成長していくきっかけとなった。
出会い系は当初、パソコンからアクセスするタイプの無料の物が殆どであった。簡単なチャットと私書箱、掲示板のみがユーザに用意され、チャットなどで気に入った相手と仲を深める、といった流れで、主催者は広告料などで収入を得ていた。
しかし、1999年から、iモードなど携帯電話によるインターネットアクセスサービスが開始されて、携帯電話よりwebサイトが閲覧できるようになると、その手軽さも手伝い、それまでの何倍ものユーザが出会い系サイトに流入するようになった。当初は男性も女性も非常に多くアクセスをしていたが、近年では援助交際など様々な犯罪の温床になっているとして敬遠するユーザ(特に被害者になりやすい女性)が多くなり、それに伴い男性のユーザ数も減少した。
また、初期のユーザ増大に目をつけた一部の業者は、新たなビジネスとしてこれを捉え、男性ユーザは課金制、女性ユーザは無料というシステムを構築し、女性の確保に力を入れている場合も多い。その反面、このようなシステムにはいわゆる「サクラ」と呼ばれる絶対に出会えない偽女性ユーザも多数存在する。さらに、サクラでない女性の利用者であっても「売春」目的の女性も多い。
2003年9月13日には、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(出会い系サイト規制法・出会い系サイト被害防止法)が施行され、18歳未満の人(例、女子高生など)を性行為目的で誘い出す書き込みをインターネット上で行なうと犯罪になるため、ブームは下火ではあるが、ネット上での出会いを求める男女がいる限り、消える事は無いと思われる。しかし、法令施行前から年齢・入会資格制限などを設けていた良心的サイトもあり、そちらは危険は少ない。
近年では、Mixiなどといったソーシャル・ネットワーキング・サービスがナンパスポット・出会い系サイトとしてもっぱら利用されるようになった。
[編集] アメリカ
日本でいう「出会い系サイト」に近い英語表現は "Net dating service" か(英語版も"Net dating service" へリンクさせた)。
アメリカでの登場も、日本と同時期の1995年頃か。アメリカでは日本のような、携帯電話によるインターネットアクセスサービスが一般的でなく、また、登場当時から市内電話料金が定額制という事情のため、前述の映画『You've Got Mail』のような、ほとんどはパソコンを対象としているサイトが多いと推測される。また、日本と逆に、女性(特にニューヨークなどの都市部で勤務している、いわゆる「キャリアウーマン」が多い。身近なところでの男性との出会いがないためか?)の比率が高いといわれている。そのためか、有料サイトでも、日本で発生している「援助交際」「サクラ」「悪徳商法」などの諸問題は寡聞にして聞かない。
[編集] 出会い系の課金システム
その形態はいろいろである。
- 収入は広告料で賄い、ユーザは完全無料で楽しめるタイプ。
- 元々パソコン系で開設されていた、歴史の長いサイトが多い。
- 有料サイト(男性が有料、女性は無料の場合がほとんど)
- 初期に入会料と、月々の利用料を支払えば利用が自由な定額制。
- メールを送信するなどのアクションごとに課金される従量課金制。
など。
有料サイトの場合は、特定商取引に関する法律(特定商取引法)の指定役務に該当し、同法でいう通信販売となるため、連絡先窓口となる事業者の名称(さらに法人の場合には代表者か責任者の氏名)、住所及び電話番号等の記載が義務付けられている。
[編集] 悪質サイト
出会い系サイトが一つのビジネスモデルとして確立して来るに従い、勧誘方法あるいは料金の請求方法などに非常に悪質な手法を用いるサイトが急増し、犯罪の温床であるという問題とは別に、その方法そのものが社会問題化した。主な問題は迷惑メールおよび架空請求を含む悪質な料金請求である。
[編集] 迷惑メール
携帯電話、あるいはパソコンのメールに、突然送りつけられてくる広告が迷惑メールである。初めのうちは、見るからに広告だとわかるメールが多かったが、そのうちにメールの内容が高度化し、「エミコだよ♪」などと女性の名前を騙って届く、「お疲れさまです」「緊急案件」などメールタイトルだけでは、広告メールとはわからないメール、タイトルに「Re:」と付けることで返信と思わせるメール、「あなたのパソコンはウィルス感染しています、このサイトにアクセスしてウィルスを駆除してください」と不安を煽るようなものも登場し、より悪質化した。最近は、「懸賞サイト」から当選のお知らせが入り、そこから当選賞品の内容確認をさせる形で出会い系サイトに誘導させてしまい、その結果サクラからの迷惑メールが頻発、という例もある模様。
[編集] 悪質請求
無料サイトを騙り、無料なのは登録だけで実際にはメールの送受信などに料金がかかる、無料サイトと同時に有料サイトに勝手に登録される、あるいは、携帯電話などに来たメールをクリックすると同時に、サイトに登録したことになり料金を請求されるなどの悪質な請求が後を絶たない。また、実際には利用していないサイトから利用料金を請求され、無視していると今度は手数料を上乗せした金額を請求される架空請求詐欺などが指摘されている。 男性の方もしくは女性の方はこちらをクリックしただけ料金が発生するワンクリック契約の被害も報告されている。
[編集] その他の問題
有料の悪質な出会い系に限らず、無料の出会い系でも悪質なユーザが存在する。以下に列挙するものは無料でも有料でも存在するが、比率として無料の方が高いものである。
- マルチ商法
- 特にダイエットサークルなどを装ったものが多い。
- 「あなたに興味がある」と偽って会い、2、3回会って相手を安心させてからマルチ商法を行う。「楽しいサークルなんですけど参加しませんか?」といった場合も疑うべき。
- 最近は、「懸賞サイト」から当選のお知らせが入り、そこから当選賞品の内容確認をさせる形で出会い系サイトに誘導させ、入会しないと当選商品が確認できない、といった例もあり、問題化している。
- 宗教団体
- 手口としては上記のマルチ商法と似ているが、待ち合わせの喫茶店などでいきなり何人もの人間に囲まれ勧誘されたりする。捕まると厄介。
- 寸借詐欺
- 「次あったときに返すから」と金品などを借り、別れた後すぐさま連絡不能になる手口。
- 美人局(つつもたせ)
- テレクラ等では古典であるが、現在でも同様の事件は後を断たない。ひどい場合は強盗や殺人に発展するケースもある。
- デート商法
- 素性を隠した販売員が、相手におねだりして営業所に誘い込み、高額なアクセサリーやジュエリーなどのローンを組ませるのが一般的手口。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 「出会い系サイト規制法」がスタート(pdf、内閣府大臣官房政府広報室 但しサイトの存在自体は容認している)
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