内閣法制局
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
内閣法制局(ないかくほうせいきょく、Cabinet Legislation Bureau)は、日本の内閣におかれる機関で、行政府内における法令の審査や法制に関する調査を所掌する。
内閣(政府)が国会に提出する新規法案を、閣議決定に先立って現行法の見地から問題がないかを審査することから「行政府における法の番人」といわれる。実務上は、各省庁の課長補佐クラスが各部の参事官(課長級分掌官)と協議しつつ法案を起案・修正していく。
内閣法制局は、内閣の下で法制についての事務を行う機関であり、その長は、内閣が任命する内閣法制局長官である。また内閣法に言うところの主任の大臣は、内閣総理大臣とされている。
目次 |
[編集] 沿革
- 1875年7月3日、太政官正院の法制課を法制局に改組。
- 正院の呼称は、1877年1月18日に廃止。
- 1880年3月3日、法制局を廃止し、太政官に法制部を設置。
- 1881年10月21日、太政官に参事院を置き、参事院に法制部を設置。
- 1885年12月22日、太政官を廃止し、内閣制度を創設。
- 1885年12月23日、内閣総理大臣の管理に属する法制局を設置。行政部、法制部、司法部の3部構成。
- 1890年6月12日、法制局の位置づけを改め、内閣に属するものとする。部制を廃止。
- 1891年4月10日、部制を復活させ2部制とする。(第1部・第2部)
- 1893年11月10日、法制局の位置づけを改め、内閣に隷するものとする。部制を廃止。
- 1918年5月29日、部制を復活させ2部制とする。(第1部・第2部)
- 1939年4月28日、2部制を3部制に改める。(第1部から第3部まで)
- 1945年5月24日、3部制を4部制に改める。(第1部から第4部まで)
- 1945年9月6日、4部制を3部制に改める。(第1部から第3部まで)
- 1945年11月24日、法制局に次長を置く。
- 1948年2月15日、法制局を廃止して司法省と統合し、国務大臣たる法務総裁を長とする法務庁を設置。
- 法務庁では法務総裁のもとに5長官制を敷き、長官のうち、法制局の所管を引き継ぐものとして法制長官と法務調査意見長官とが置かれる。
- 法制長官の指揮監督のもとに長官総務室のほか3局(法制第1局から法制第3局まで)を置く。
- 法務調査意見長官の指揮監督のもとに長官総務室のほか3局(調査意見第1局、調査意見第2局、資料統計局)を置く。
- 1949年6月1日、国家行政組織法施行に伴い、法務庁を法務府に改組。
- 法務総裁のもとの5長官制を3長官制に改め、法制長官と法務調査意見長官を統合して、法制意見長官を置く。
- 法制意見長官の指揮監督のもとに長官総務室のほか4局(法制意見第1局から法制意見第4局まで)を置く。
- 1952年8月1日、法務府を解体し、法務省と法制局を設置。
- 法制局の長は法制局長官とし、法制局次長を設置。長官総務室のほか第1部から第3部までの構成とする。
- 1962年7月1日、法制局を内閣法制局に改称。第4部を増設。
- これに伴い、法制局長官は内閣法制局長官に、法制局次長は内閣法制次長に改称。
- 従来から、内閣に置かれていたため「内閣法制局」と通称されてきたが、正式名称を通称に合わせた。
- 衆参両院に置かれた議院法制局との区別を明確にしたい意図も改称の理由である。
- 次長の職名は各省の局次長と同格であると見られがちだったので、これを避けるため局の文字を除いて「内閣法制次長」とした。
[編集] 所管事務
内閣法制局の所管事務は概略次のとおりである。
- 内閣提出法律案、政令案及び条約案の審査
- これが内閣法制局の主たる事務であり、他の法律と抵触する部分はないか、文章の体裁が法令表記の慣例から逸脱していないか等々について審査する。
- 法律案及び政令案の立案、内閣への上申
- 内閣法制局自身が案を立案した例は極めて少ない。
- 法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣への意見開示
- 内閣及び各府省庁からの意見照会に関する回答を行うことがあるほか、国会において関係大臣の間で意見に相違があるとき閣内統一見解を求められた際に内閣法制局長官が答弁する例が多い。また国会法第74条による質問主意書に対する回答で法制に関するものを含む場合は内閣法制局が関与する。
[編集] 組織
[編集] 幹部
- 内閣法制局長官
- 内閣法制次長
[編集] 内部部局
- 第一部
- 憲法資料調査室
- 参事官
- 法令調査官
- 第二部
- 参事官
- 第三部
- 参事官
- 第四部
- 参事官
- 長官総務室(総務主幹)
- 総務課
- 会計課
- 調査官
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
日本の行政機関 |
||
---|---|---|
内閣 |