全翼機
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全翼機(ぜんよくき)とは、一枚の主翼によって機体が構成された飛行機のこと。
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[編集] 概要
一般的な飛行機は、主翼・胴体・垂直尾翼・水平尾翼で構成される。だが、構成要素が多くなるということは、重量が重くなり、空気抵抗も増すということである。そのため、主翼のみで構成される全翼機が古くから研究されてきた。しかし、全翼機には設計上の困難が多くあり、実用化されたのはB-2が初めてである。
[編集] 利点と欠点
全翼機の利点と欠点は以下のようなものである。
[編集] 利点
- 全体の空気抵抗が少なくなる。
- 通常の飛行機では、水平尾翼・垂直尾翼によって機体の安定性を得ている。しかし、これらと胴体との干渉によって空気抵抗が増すことにもなる。
- 同じ翼面積でも、通常の飛行機より軽量化できる。
- ステルス性が高い。
- 尾翼などの反射物が少ないため、ステルス性が高くなる。これはいわば副次的な効果で、全翼機の試験中にわかったことである。これを主目的として作られたのはB-2が唯一である。
[編集] 欠点
- 機体の安定性が悪い。
- ペイロードを確保しにくい。
- 飛行機では、普通なんらかの荷物を運ぶためのペイロードの確保が必要である。通常の飛行機では胴体に確保できるが、全翼機では翼内に確保しなければならず、そのためには翼全体を大きくしなければならない。そうなると飛行機全体が大きくならざるを得ず、重量が重くなって利点が相殺されてしまう。
- 設計が困難。
- 上述の欠点を克服できるような設計を行なわなければならず、設計が困難になる。