便宜置籍船
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便宜置籍船(べんぎちせきせん FOC:Flag Of Convenience Ship)とは、その船の事実上の船主の所在国とは異なる国に籍を置く船をいう。
通常、船主がその出資により、置籍国に船を所有するためだけの会社を設立する、という手段が用いられる。当然この会社は実態を持たないペーパーカンパニーとなる。
リベリアが、船舶を所有、置籍することにより生ずる税金を低く抑え、また法令の適用を緩やかにする、外国船籍誘致政策を執り(いわゆる「タックス・ヘイヴン」)、ギリシャ系の船主がこれを利用したことに始まる。
便宜置籍国・便宜置籍船国としてはリベリアの他に、パナマ、バハマ、マルタ、キプロスなどの小国が同様の政策を執り、利用されている。
パナマについては、ノリエガ将軍が米国と対立した際、パナマ籍船にも何らかの制裁が課されるのでは、との思惑から、船主がその支配船の籍を他の国に移す動きもあった。
ただ一部の船主がこの制度を悪用し、乗組員の処遇を不当に低く抑えたりすることは、国際的に問題とされている。