上総広常

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上総広常（かずさひろつね、？ - 寿永2年12月20日（1184年 2月3日））は平安時代末期の武将。上総権介平常澄の八男。平広常（たいらのひろつね）。上総介広常（かずさのすけひろつね）の呼称が広く用いられる。

上総氏は上総介あるいは上総権介（かずさごんのすけ）として上総、下総二ヶ国に所領を持ち、大きな勢力を有していた。上総は親王任国であるため、介が実質的な国府の長である。

広常は、鎌倉を本拠とする源義朝の郎党であった。1156年の保元の乱では義朝に属し、1159年の平治の乱では義朝の長男・源義平に従い活躍。義平十七騎の一騎に数えられた。平治の乱の敗戦後、平家の探索をくぐって戦線離脱し、領国に戻る。

1180年9月、石橋山の戦いに敗れた源頼朝が、安房国で再挙をはかると、広常は上総国内の平家方を掃討し、二万騎の大軍を率いて頼朝のもとへ参陣した。しかし、頼朝はこの大軍を喜ぶのではなく、広常の遅参を咎めて目通りを許さなかった。広常は恐れ入り「この殿は必ず日本の大将軍になるであろう」と語った。

同年11月の富士川の戦いの勝利の後、上洛しようとする頼朝に対して、広常は常陸の源氏の佐竹氏討伐を主張した。広常は佐竹義政に降伏を勧めに向かったが、拒否されたため義政を暗殺した。

頼朝配下の中で、飛び抜けて大きな兵力を有する広常は無礼な振る舞いが多く、頼朝に対して下馬の礼をとらず、また他の御家人に対しても横暴な態度で、頼朝から与えられた水干のことで岡崎義実と殴り合いの喧嘩に及びそうにもなった。

広常は平氏政権を打倒することよりも、関東の自立を望んでいた。こうした広常の考えは、朝廷との協調によって武家政権の樹立を目指す頼朝にとって極めて危険なものであった。

1183年12月、頼朝は広常が謀反を企てたとして、梶原景時に命じて、双六に興じていた最中に広常を謀殺させた。嫡男能常は自害し、上総氏は所領を没収された。この後、広常の鎧から願文が見つかったが、そこには謀反を思わせる文章はなく、頼朝の武運を祈る文書であったので、頼朝は広常を殺したことを後悔し、即座に千葉常胤預かりとなっていた一族を赦免し、一部所領を返還した。