ヤコブ (ゼベダイの子)
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ゼベダイの子のヤコブは新約聖書に登場するイエスの使徒の一人で、使徒ヨハネの兄弟である。アルファイの子ヤコブと区別して「大ヤコブ」とも言われる。
『マルコによる福音書』1:19-20によるとヤコブは父ゼベダイ、兄弟ヨハネと共にガリラヤ湖畔の漁船の中で網の手入れをしていたところをイエスに呼ばれ、そのまま父と雇い人を残してヨハネと共に弟子になった。彼ら二人は「ボアネルゲス」(雷の子ら)とよばれていたようである(→ゼベダイの子)。ヤコブはエルサレム教会においても一貫して中心的な立場を占めていたが、『使徒行伝』12:2によるとユダヤ人の歓心を買おうとしたヘロデ・アグリッパ1世によって捕らえられ、殺害されたという。
9世紀、遺体がサンティアゴ・デ・コンポステーラで奇跡的に発見された。時はイベリア半島においてレコンキスタの最中で、イスラム勢力と闘うキリスト教勢力を守護するシンボルとして崇められた。 スペインの守護聖人であり(聖ヤコブはスペイン語で「サンティアゴ」)、いまも同地は巡礼の聖地として信仰を集めている。隣国フランスからもピレネー山脈を越える巡礼路がある。 記念日は7月25日。
ホタテ貝は彼のシンボルで、フランス語でホタテ貝を「聖ヤコブの貝」(coquille Saint-Jacques、コキーユ・サンジャック)と呼ぶ。英語圏でジャック(Jack)の名が多いのは、彼の名か、あるいは旧約聖書に登場するユダヤ人の祖ヤコブに因む。