モバHO!
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モバHO!(モバホ!)とは、モバイル放送株式会社が提供する、移動体向け衛星放送サービスの名称である。2004年10月20日にサービスを開始した。
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[編集] 概要
従来の衛星放送は基本的には家屋などに固定したアンテナで受信する、固定受信局向けの放送である。放送衛星は高度約36,000kmの静止軌道から、12GHz帯(Kuバンド)を用いて100~200W程度の送信出力で放送する。この放送波を受信するためはパラボラアンテナのような高利得アンテナを用いる必要がある。こうした高利得アンテナは指向性が鋭いため、正確に衛星に向ける必要があることから、自動車などの車両に取り付けたアンテナでは受信が困難である。また、衛星が見通せないトンネル内や地下、高架下では受信ができなかった。
モバHO!のシステムでは放送周波数に2.6GHz帯(Sバンド)を用いる。周波数が1/2になると空間の伝播損失は1/4になり、他の要因とあわせ従来の衛星放送に比べ約1/13のロスで済む。また、衛星側のアンテナとして12m径の高利得アンテナを用いることで有効輻射電力を増加させている。このため受信機のアンテナを小型の無指向性の物にすることができ、受信機を携帯端末サイズにまで小型化することが可能である。
また、衛星が見えないトンネル内やビルの谷間ではギャップフィラーを用いて受信可能にする。これは衛星を見通せる場所に設置したアンテナで受信した信号を、衛星からの電波の届かない場所に再送信する中継局である。
[編集] 受信機器
放送を受信する機器は、携帯型・車載型・PCカード型の3種類が提供される。AVケーブルを接続して普通のテレビでも視聴する事は可能だが、元々小型画面用にQVGAで放送されているので、画質が粗くなる。
2006年には携帯電話内蔵型(DoCoMo MUSIC PORTER X)やカーナビ内蔵型(トヨタ純正ディーラーオプション)も登場した。
[編集] サービス
モバHO!で提供されるサービスは以下の通り。一部を除いて有料放送である。
[編集] テレビ放送
- 001ch チャンネルONE
- 011ch モバイル.n
- 012ch CNNj
- 014ch 日テレNEWS24
- 015ch 日経CNBC
- 033ch TBSチャンネル
- 035ch MTV
- 081ch グリーンチャンネル(EAST、競馬開催日のみ)
[編集] ラジオ放送
全37チャンネル
他
- この他、データ放送も提供される。(約50タイトル)
- TOKYO FM、J-WAVE、FM802はCMの間はすべてBGMに差し替えられている。
[編集] 画質改善(動画圧縮方式の変更)
2005年10月~11月にかけて、映像チャンネルの圧縮方式がMPEG-4からH.264へ段階的に移行。 受信機器では、衛星ダウンロードによるソフトウェアの自動あるいは手動更新を行う必要がある。 また、PCカード型受信機ではインターネットからのダウンロードで対応した。
[編集] その他
SKテレコムはシステムEと呼ばれるモバHO!と同一の放送方式で韓国向けサービスを行う。このモバHO!と、SKテレコムの子会社TUメディアは放送衛星(MBSAT)を共用している。韓国内では衛星DMBと呼ばれており、SKテレコムとKTFの携帯電話でも視聴することができる上に、ギャップフィラーの数も多く、加入者数が伸びている。なお回転偏波は日本では左旋円、韓国では右旋円となっている。
類似の衛星ラジオサービスとして、米国では既にXMサテライトラジオ社とシリウス・サテライトラジオ社があり、共に移動体向けの音声放送を行っている。