ミラーマン
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『ミラーマン』は、円谷プロダクションが製作し、1971年12月5日から1972年11月26日までフジテレビ系で全51話が放送された特撮テレビ番組、およびその劇中に登場する変身ヒーローの名。監督は本多猪四郎ほか。
ミラーマンと怪獣の格闘シーンによる5分間の帯番組『ミラーファイト』が1974年に東京12チャンネルで放送された。
2006年に円谷プロダクションとバップ制作による劇場公開作品として『ミラーマンREFLEX』が公開された。
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作品の解説
1971年12月5日から放映された本作だが、実は制作開始の数年前から既に企画そのものは存在しており、様々な紆余曲折を経て放送が開始された作品である。またパイロット版も存在しているが、出演者・ヒーローのデザイン・ストーリーのコンセプトなどが放映版と大きく異なっていた(主演は柴俊夫)。
ストーリーは、当初はインベーダーの不気味さや京太郎の内面的な弱さが強調されており、このタイプのヒーロー番組としては珍しくリアルでダークなムードが漂う展開が続いていた。また、特殊チームが一切の兵器を持たずに科学力で敵に立ち向かう組織(事件の捜査と検証等が主な任務)であるという点も初期の特徴であり、敵に対してなかなか抵抗できないというエピソードも多々描かれている。こういった演出が影響したかは定かではないものの、第一回の視聴率を最高として視聴率は序々に低迷、さらに裏番組に『シルバー仮面』(皮肉にも、その主演はパイロット版の主人公役・柴俊夫であった)が重なってしまったために視聴率を独占することができず、お互いに熾烈な視聴率争いを展開することとなった。その結果としてシルバー仮面は『シルバー仮面ジャイアント』とタイトルを変え、主人公を巨大化させることで強化を図った。これに対抗する形でミラーマンもその作風を変化させてゆく。
そして、2クール目と3クール目の境目の回にあたる第26話をもってミラーマンの世界観はガラリと変わる。ミラーマンはインベーダーの策略に陥りエネルギー時限爆弾を心臓に埋め込まれてしまい、当初は持っていなかった弱点が付加されることとなる(これは、ミラーマンに不足していたヒーロー性を補う目的で施行された強化策である)。一定以上のエネルギーを消費すると自爆してしまうエネルギー時限爆弾の脅威、そしてそれを退けるべく父親から授けられたカラータイマー(エネルギー時限爆弾のタイムリミットを示すことができる)を得ることで、ミラーマンのヒーロー性とサスペンスは格段にアップした。また、同話においてSGMに大型戦闘機ジャンボ・フェニックスが導入され、対エイリアン組織といった立ち位置であったSGMは、より攻撃部隊としての面が強くなってくる。
これを契機に、作風は敵の侵略活動よりも人類と敵との総力戦が多く描かれるように変わり、それに伴って二対一の対決など、ミラーマンがピンチに追いやられることが増えていった。
これに伴い、最初期のころのリアリティやドライなタッチのエピソードは激減し、ややご都合主義的ともいえる展開が増えていった。だが、番組の基本的なフォーマットを完全に崩すまでには至らず、逆にミラーマンを代表する名作エピソードが多数生まれるきっかけにもなった。視聴率も次第に持ち直し、一定の人気を得るようになる。続編も企画されたが、こちらは映像化されること無く終わった。
このように視聴率的な苦戦や路線変更など様々な困難に直面した本作であるが、ヒーロー番組が乱立している時期においては十分な人気を得た番組であったといえる。
ミラーマン
2次元人(ミラーマン)の父と3次元人の母の間に生まれた、鏡京太郎(演:石田信之)が「ミラー・スパーク」の掛け声と共に、鏡や水面などの光を反射するものに飛び込んで変身する。地球を狙う侵入者:インベーダーから母の生まれ故郷、地球を守るためにインベーダーが送り込む、またはインベーダー自身が変身した怪獣と戦った。
鏡や光を反射する物を伝って移動することが可能であるが、反面、空を飛ぶことはできない。
弱点は、鏡の中(おそらく二次元の世界とは別の空間)に長時間留まることであり、彼の父親はこの弱点を利用されて死亡したらしい。ミラーマンもこの弱点を突かれて命の危機に立たされるが、父の助言によって無事生還している。
必殺技・特殊能力
- ミラーナイフ
- 最も使用頻度の高いミラーマンの光線武器。白色の楔状光線を同時に多数発射するもので、第1話において戦い方のわからないミラーマンに、父親が打ち方を教えた技である。最初期はとどめの技として使われていたが、中盤以降は敵にダメージを与える程度にしか用いられなかった。
- ミラーシュート
- ジャンプして空中からミラーナイフを打つ技。初使用は第3話である。片手で打つときと両手で打つときの2パターンがあり、後者のほうが威力が高いようである。ミラーナイフと同様に使用頻度の高い技である。
- ディフェンスミラー
- 防御もしくは反撃に用いられるバリア。中空を手でなぞるようにして展開させ、敵の光線などを反射する。このタイプが最もポピュラーだが、第18話で使った簡易型(両手で発生させ、アロザの光弾を一発ずつ防御した)、第33話での大きなバリア(ウルトラマンのリバウンド光線を想像していただきたい)、第40話の手持ちタイプ等々のバリエーションも存在する。また、第14話のキングザイガー戦のように敵の光線を反射して、敵にダメージを負わせる戦法もあった。
- ミラースライサー
- 敵の体を切断するカッター光線。水平切りのスライサーHと垂直切りのスライサーVがあり、同時に使うこともあった。初使用は第5話で、インベラーの翼を切断するのに使用された。
- ミラー・アイビーム
- 目から放つ破壊光線。第3話で敵の宇宙船を破壊するのに使われて以来、度々使用された。また、第50話では目から赤色のショック光線を放ち、SGM隊員に乗り移ったインベーダーを分離させた。
- ミラーハレーション
- 第7話でゴールドサタンを倒すのに使った技。光を利用して相手にショックを与える技である。
- シルバークロス
- 最高の威力を誇る必殺技であり、初使用は第12話。巨大な矢じり状の光線で、多くの敵を葬った。ただし、膨大なエネルギーを一気に消耗する技であるため、使用後は速やかに変身を解かなければならない。命中した怪獣のほとんどは致命傷を負っていたが、第23話のアンドロザウルスだけは倒せなかった。
- ミラーキック
- 第28話でミラーマンが両腕にダメージを負い、主要な技を封じられ危機に陥った際に思いついた必殺技。敵の頭部を蹴り落とす技であり、第28話~第30話で使用された。
- ミラクル・キック
- 第31話でミラーマンがあみ出した必殺キック。ビジュアル的にはミラーキックと大差ないが、威力はこちらのほうが高いようだ。また、第36話ではゴルゴザウルスβとペアモンスキングβの首を同時に落とす(ペアモンスキングの首は2つあるので、実質3つを同時に落とした)という荒技に使用された。
- 必殺水平切り
- 赤色の風車型をしたカッター光線。高空にジャンプしてから、スライサーHと同じ発射ポーズで撃つ。対モグラキング、サンガーニ、イエズ戦で使用された。
- ミラーアイ
- 青色の透視光線で、使用時はミラーマンの目が青く発光する。異次元空間を作り出して、そこに隠れていたテロリンガの位置を把握するのに使った。
- 瞬間移動能力
- 光を反射するものの前であれば、ミラーマンは空間を超越することができる。その際には変身時と同じようにミラーアクションをするか、ミラーハレーションと同様のアクションをとる。
放映リスト
- ミラーマン誕生 (アイアン)
- 侵略者(インベーダー)は隣にいる (キティファイヤー)
- 消えた超特急 (ダークロン)
- コバルト60の恐怖 (マルチ)
- 怪鳥インベラー現わる! (インベラー)
- 鏡の中の墓場 (キティファイヤー)
- 打倒! 人体侵略作戦 (ゴールドサタン)
- 鋼鉄竜アイアンの大逆襲 (アイアン)
- 凧に乗ってきたマルチ (マルチ)
- 時計が止った町 (重力マシン)
- 火焔怪人ザイラスを撃て (ザイラス)
- 出た! シルバークロス (ゴールドサタン)
- 笛を吹く魔女 (ノア)
- キングガイザーを倒せ! (キングガイザー)
- 謎の怪獣スクリーン (ジャバラ、ザイラス、アイアン、キティファイヤー)
- 人形怪獣キンダーを追え! (キンダー)
- 罠におちたミラーマン (カメレゴン)
- 生きかえった恐竜アロザ (アロザ)
- 危機一髪! S・G・M (ビッグアイ)
- 深海の用心棒 (ダークロン、スフェノドン)
- 恐怖の液体怪獣タイガン (タイガン)
- 月面怪獣キングワンダーとの死闘! (キングワンダー)
- 土星怪獣アンドロザウルス襲来! (アンドロザウルス)
- カプセル冷凍怪獣コールドンに挑戦せよ! (コールドン)
- 怪獣を探す妖精少女 (ダストパン、ハエブーン、ゴキブラー、モスゴジラ)
- ミラーマン絶体絶命! (ハリゴジラ、スネークキング)
- 総攻撃! S・G・M (ハリゴジラ、スネークキング)
- 殺し屋怪獣からの挑戦状 (キーラゴン)
- わが友! フェニックス (ゴルゴザウルス、マヤザウルス)
- ミラーマン救出大作戦 (ゴルゴザウルス、マヤザウルス)
- 電光石火の必殺技! (アリゲーダー)
- 今救え! 死の海 (シーキラザウルス)
- インベーダーの海底基地 (ペアモンスキング)
- S・G・M 対ミラーマン (スモークネス、モグラキング)
- S・G・M 特攻大作戦 (スモークネス、モグラキング)
- 怪獣軍団ミラーマンを襲う (ハレージャック、ベアモスキングβ、マヤザウルスβ、ゴルゴザウルスβ、アンドロザウルスJr.、アンドロザウルス)
- ミラーマンを太陽にぶちこめ! (ハレージャック、マヤザウルスβ、アンドロザウルスJr.、アンドロザウルス)
- 地獄谷! 妖怪怪獣マグマゴン (マグマゴン)
- 怪奇大怪獣 -サンガーニ登場- (サンガーニ)
- インベーダー移住作戦 (シャドウモンス)
- 謎の異次元怪獣 (テロリンガ)
- 小さなインベーダー (インベザウルス)
- 打倒! 幽霊怪獣ゴースト (ゴースト)
- 魔の救出大作戦 (ボアザウルス)
- 少年と黒い大怪獣 (ブラックゴン)
- 死都に愛の鐘が鳴る (レッドモンス)
- 侵略者撃破計画 (ギランダー)
- 赤い怪鳥は三度来た! (ボアザウルス)
- 怒りをこめたこの一撃 (イエズ)
- 地球最後の日 (エレキザウルス、デッドキング)
- さよならミラーマン (エレキザウルス、デッドキング)
映画
- ミラーマン
- 1972年3月12日公開(東宝チャンピオンまつり)…第1話「ミラーマン誕生」の劇場版
- ミラーマン 生きかえった恐竜アロザ
- 1972年7月22日公開(東宝チャンピオンまつり)…第18話「生きかえった恐竜アロザ」の劇場版
出演
- 鏡京太郎:石田信之
- 鏡優子:上月佐和子
- 御手洗博士:宇佐美淳也
- 御手洗朝子:沢井孝子
- 村上浩:和崎俊哉
- 藤本武:工藤堅太郎(現:工藤堅太良)
- 安田秀彦:杉山元
- 野村由起:市地洋子
- 大川一郎:蔵忠芳
- 日野正史:黒木進
- ミラーマンの父(声):田中信夫
- ナレーター:浦野光
- ミラーマン:西条満、久須美護
- 怪獣:梅田信一、坂本道治
スタッフ
主題歌
- ミラーマンの唄(全話OP/前期ED)
- 戦え! ミラーマン(後期ED)
- 作詞:東京一/作曲:冬木透/歌:石田信之、杉山元、市地洋子、沢井孝子、荒川少年少女合唱団(キングレコード TV(H)-2)
外部リンク
フジテレビ 日曜19:00枠 | ||
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アタックNo.1(アニメ版) | マジンガーZ |
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