マリア (クロパの妻)
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マリア(クロパの妻)は新約聖書のうち『ヨハネによる福音書』でイエスの磔刑を見守る場面に登場する女性。 イエスの母マリアの姉妹。
「クロパの妻マリア」は新約聖書中で『ヨハネによる福音書』のただ1箇所(ヨハネ9:25)にしか登場しない。 他の福音書で十字架の下に居たマリア (小ヤコブとヨセの母)と同一人物と考えられたり、サロメ (イエスの弟子)や、あるいはゼベダイの子らの母と同一人物と見なされることがある。 福音書の版、あるいは訳により「クロパの妻マリア」と「イエスの母マリアの姉妹」とを別に数えるものもある。
クロパは『ルカによる福音書』(24:18)に登場するクレオパと同一人物ではないかとする考えもある。
また、クロパはアラム語アルファイをギリシャ語に直したものではないかという考えもある。 この考えに従えば、クロパの妻マリアは、十二使徒の一人に挙げられるアルファイの子ヤコブの母であり、「小ヤコブとヨセの母マリア」(マルコ15:40)と同一人物とも考えられる。 さらには、クロパの妻マリアはイエスの母マリアの姉妹であるから(ヨハネ9:25)、アルファイの子ヤコブあるいは「小ヤコブ」はイエスの従兄弟ということになる。
この考えを採り、『マルコによる福音書』(6:3)、『マタイによる福音書』(13:55)でイエスの「兄弟」として名を挙げられている「ヤコブ」はこれと同一人物で、イエスの従兄弟であるというのが、カトリックでの解釈となっている。