マスクメロン
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マスクメロン(muskmelon)は、麝香(musk)のような強い芳香を持つメロンの総称である。日本ではアールスフェボリット(あるいはその系統の品種)のことを指す。
[編集] アールスフェボリット
アールスフェボリット(Earl's Favourite)は網メロンの代表品種である。略してアールスメロンとも呼ばれる。果実はほぼ球形で、果皮表面にはコルク質の網目を生じる。果肉は黄緑色で、果汁が多く、非常に甘い。栽培は温度・湿度を管理した温室内で行わなければならず、まめに手を加えなければ品質の良いものはできない。また1本のつるからは1個だけしか生産しない(複数の実が結実した場合、1個を残し他は小さいうちに摘み取られる。摘み取られた実は「小メロン」の名で漬物や刺身のつまに利用される。)。このため価格も高く、高級品では1玉1万円を超えるものもある。主産地は静岡県で、高知県がこれに次ぐ。
この品種が開発されたのは19世紀末のイギリスである。「伯爵のお気に入り」という意味の名は、ラドナー伯爵邸の農園で作られたことに由来する。日本へは1925年に導入された。その後、園芸学者の福羽逸人により育種と栽培法の確立が行われ、日本全国へと広まっていった。現在では本国イギリスではこの種は栽培されなくなっている。
赤肉メロンの代表格である夕張メロンはこのアールスフェボリットとスパイシーキャンタロープの交配種である。