ポイント
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ポイントは、出版において使用される長さの単位で、文字のサイズや余白の幅などの、版面の構成要素の長さをいうときに使う。「pt」あるいは「ポ」と略記する。11ポイントならば「11ポ」という具合である。
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[編集] 級とポイント
同様な使い方をする単位に「級」というものがあり、日本では両方が使われている。級数制はメートル法をもとにしており、紙の寸法を含めて計算の便が良いという利点もあるが、ワープロの普及などもあり、ポイントのほうがより一般ユーザーレベルで広く使われていると言える(級、Q、歯については写真植字機を参照のこと)。
日本語対応しているDTPソフトは級数を扱えるものがほとんどだが、Qで入力すると自動的にptに換算して表示するという形でのみ対応しているものもある。
[編集] ポイントの歴史と定義
ポイントは複数の地域や時代に種々のシステムが成立したため、定義も一様でない。一番古いポイント・システムはフルニエ・ポイント(Fournier point)とされ、次にディドー・ポイント(Didot point)(1783年頃)が成立する。これら二つのシステムは、フランスで誕生し、大陸で広く使われた。フルニエ・ポイントは、フルニエ(Pierre Simon Fournier)により提案されたものである。シセロ(Cicero)格の1/12を基準として、ポイントを定義したのである。ディドー(François-Ambroise Didot)はこのフルニエのシステムを改善し、「王のインチ(Pied de roi)」と呼ばれる、フランスのインチ格に、1ptを1/72インチとして適合させた。フルニエ・ポイントにおいては、1pt ≒ 0.34882mm で、ディドー・ポイントでは 1pt ≒ 0.3759mm に相当する。
欧州大陸では、主にディドーのポイント・システムが使用されていたが、英米では、定まったポイント・システムは普及しなかった。アメリカで活字のサイズが統一されるのは、1886年にMS&J (Mackellar, Smiths and Jordan, Letter Founder) のジョンソン・パイカを共通的に使用することが確認されてからである。これをアメリカン・ポイント(American point, American printers' point)という。ジョンソン・パイカは 83パイカ = 35cm とするもので、1pt = 1/12パイカ ≒ 0.03514cm である。ジョンソン・パイカが 83パイカ = 35cm とし、それが結局アメリカン・ポイントとして選択されたのは、サイズ体系を維持することで、活字の改鋳を極力避けるためであった。多くの有力な活字鋳造業者が、ジョンソン・パイカを使用していたため、アメリカン・ポイントを、 1インチ = 6パイカ 、1パイカ = 12pt にしようと運動した、ホークスの提案は退けられたのである。アメリカン・ポイントは築地活版によって1900年代後半に紹介され、日本でも普及した。
1973年、ディドー・ポイントは 1pt = 3/8mm(0.375mm) と定義されなおされた。
[編集] 互換性
金属活字のポイントには、アメリカンポイントと、ヨーロッパで使用されるディドーポイント、フルニエポイントがある。アメリカンポイント(パイカポイント)は約0.3514mmで、日本の出版場面ではこちらが主に使われていた。ちなみにMicrosoft Wordでは1pt=0.352778mmで計算している。
なお上述の通りアメリカン・ポイントは、DTPポイント(ビッグポイント)と微妙に異なっている。このため、小さなポイント数ならばともかく紙面全体となってくるとかなりのズレが生じることになる。ゆえに、ポイント基準で製作された過去の書籍を組み直す際には、当時の組版指示書をそのまま使えないことがある。
一方、TeXはこの問題を、複数のポイントを設定しているためクリアーしている。TeXにおいては1pt=1/72.27inであり、1/72inの1bp(ビッグポイント)と併存できる。
[編集] 10.5ポイントの由来
和文ワードプロセッサなどのデフォルトのポイントサイズは10.5ポイントだが、これは号数活字での5号というサイズが本文用活字に用いられ、それが約10.5ポイントに相当することから、号数制からポイント制の移行時、改鋳せずに済ませるために追認した。本文の文字サイズとして可読性が良かったなどの理由から、現在でも用いられている。