ヘルメス
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ヘルメス(ヘルメース、‘Ερμη^ς, Hermes)は、 ギリシア神話に登場する青年神。ゼウスとマイアの子とされる。オリュンポス十二神の一柱。 旅人、泥棒、商業、羊飼いの守護神であり、神々の伝令役。 特にゼウスの忠実な部下で、アルゴス暗殺など、多くの密命を果たしている。
死者、特に英雄の魂を冥界に導く死神としての一面も持ち、タキトゥスは北欧神話のオーディンとヘルメスを同一視している。 また、アポロンの竪琴の発明者とされる。
ローマ神話におけるメルクリウス(マーキュリー)に相当する。水星はギリシアではヘルメスの星といわれ、これはローマ人にも受けつがれた。現代ヨーロッパ諸語でメルクリウスに相当する語を水星に当てるのはこのためである。
古代ギリシアにはヘルメーもしくはヘルマイなどと呼ばれるヘルメス神の石柱像があり、道端などに立てられていた。トゥキュディデスの『戦史』によると、紀元前415年ペロポネソス戦争を戦っていたアテナイのヘルメーが、一夜のうちに全て壊されるという事件がおきた。この事件はアルキビアデスの一派が起こしたものと疑われ、アルキビアデスがラケダイモン(スパルタ)側に寝返る原因となった。アルキビアデスがラケダイモン側に対して行った進言がきっかけでアテナイは痛恨の打撃を受け、ついには敗北することとなった。