ヘルター・スケルター
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- ヘルター・スケルター :ザ・ビートルズの音楽作品。本稿で詳述。
- ヘルタースケルター :岡崎京子の漫画作品で、祥伝社より2003年刊。全身の美容整形により究極の美を手に入れたファッションモデルの肉体と精神の崩壊を描く。
ヘルター・スケルター (Helter Skelter) は、1968年に発表されたビートルズの2枚組アルバム『ザ・ビートルズ』(通称ホワイトアルバム)に収録された曲。ポール・マッカートニーが騒がしい作品を意図して作った、ビートルズの楽曲の中でも最もヘビィなナンバーである。英語「helter skelter」の意味は、イギリスでは遊具の「滑り台」のことだが「狼狽(する)、混乱(した)」といった意味もあるため、両方の意味を含ませていると思われる。(※日本盤の対訳には「しっちゃかめっちゃかだ」と書かれている。)ポールがこの曲を書くきっかけとなったのは、ザ・フーのピート・タウンゼンドの「ザ・フーの新曲「恋のマジック・アイ」はこれまでのどの楽曲よりも激しく妥協のない曲だ」と発言したインタビュー記事に触発されたため(ただしポール自身はピートが何の曲のことをさしているのかいまだに知らないという)。
また、ヘヴィ・メタル/ハード・ロック系のグループの多くからリスペクトされており、多くのヘヴィ・メタルグループがカバーしている。
この曲のラストの絶叫はリンゴで、"I've got blisters on my fingers!!"「指にまめができちゃったぁ!!」と叫んでいる(非常に激しくドラムを叩いたためまめができてしまったらしい)。ただし、この絶叫はステレオ・ミックスのみに含まれており、モノラル・ミックスでは聞くことができない。(ステレオ・ミックスは一度フェイド・アウト後にフェイド・インしてくるが、モノラル・ミックスではフェイド・インしてこず、次曲「ロング・ロング・ロング」となるため)
狂信的なキリスト教信者でカルト集団を組織し、1969年にその信者がシャロン・テート他を惨殺したチャールズ・マンソンに多大な影響を与えた曲としても知られる。マンソンは白人と黒人の最終戦争を「ヘルタースケルター」と呼び、砂漠にファミリーで隠れ住むよう信者に説いていた。
またこの事件をきっかけに公の場で演奏する事を封印していたが2005年に発売されたポール・マッカートニーのDVD"In Red Square"にはビートルズ時代を含め自身史上初のライブ演奏の模様が納められている。