プラトニック・ラブ
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プラトニック・ラブ(Platonic love)とは、肉体的な欲求を離れた、精神的な愛のことである。かつては好き合った男女同士でも結婚までは純潔を保つべきである、として精神的な愛を理想と考える若者も存在したが、ほとんど死語と化しているようである。ただし、アメリカ合衆国ではキリスト教保守派の思想により、「純潔宣言」をする若者も多い。
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[編集] 起源
プラトニックとはプラトン的なという意味で、古代ギリシアの哲学者プラトンの名が冠されているが、プラトン自身が純潔を説いた訳ではない。プラトンの時代にはパイデラスティアー(paiderastia少年愛)が一般的に見られた。プラトンは『饗宴』の中で肉体(外見)に惹かれる愛よりも、精神に惹かれる愛の方が優れていると説いた。しかしいっそう優れているのは、特定の1人を愛すること(囚われた愛)よりも、美のイデアを愛することである。
ルネサンスの時代にフィレンツェの人文主義者、マルシリオ・フィチーノによってプラトンの著作がラテン語に翻訳され、プラトンの思想(実際には独自に解釈されたもの)が大きな影響を持った。フィチーノは『饗宴』の注釈書の中で、アモル・プラトニクス(amor platonicus)という言葉を使った。プロティノスが説くように人間を含む万物は一者(神)から流出したものであるが、人間は美を愛することによって、一者の領域に近づいてゆくことができると考えられた。
この言葉が転用され、(禁欲的)精神的な愛を指すようになっていった。
[編集] 西洋のプラトニックラブ
- 中世の騎士道では、貴婦人に対する精神的な愛が強調されていた。
- 詩人は女性に対する精神的な愛を歌うものであった。(ダンテにとってのベアトリーチェ、フランチェスコ・ペトラルカにとってのラウラ)
- こうした愛に対する伝統の中で、プラトニック・ラブも解釈されたものと考えられる。
- 英語の早い例では劇作家ウィリアム・ダヴェナント(Sir William Davenant)の喜劇 "Platonic Lovers" (1636)がある。[1]
- "Platonic Love is a fool's name for the affection between a disability and a frost."(プラトニック・ラブとは、不能と不感症の間の愛情を指す、馬鹿げた名前である) - Ambrose Bierce(ビアス『悪魔の辞典』)
[編集] 日本のプラトニックラブ
- 北村透谷は「悲しくも我が文学の祖先は、処女の純潔を尊とむことを知らず」と遊里を賛美するような江戸文芸の低俗さを嘆いた。(『処女の純潔を論ず』1892年)
- 農村部には夜這いの風習があり、特に処女が尊重されることはなかった。近代日本の処女崇拝は、武士道的な倫理(貞女ニ夫にまみえず)とキリスト教的倫理が結合したところに成立した観念的な思想であったといえる。
- 現代では性愛と恋愛感情を不可分のものとするロマンチック・ラブ及び婚前交渉が一般化している。そのためか、プラトニックラブを指向していることが発覚すると、女性の場合は男性恐怖症と決めつけられたり、男性の場合は変人(あるいは性的変態)として扱われることがある。