ブレードランナー
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ブレードランナー Blade Runner |
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監督 | リドリー・スコット |
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製作総指揮 | ブライアン・ケリー ハンプトン・フィンチャー |
製作 | マイケル・ディーリー |
脚本 | ハンプトン・フィンチャー デイヴィッド・ピープルズ |
出演者 | ハリソン・フォード ルトガー・ハウアー ショーン・ヤング |
音楽 | ヴァンゲリス |
撮影 | ジョーダン・クローネンウェス |
編集 | テリー・ローリングス |
公開 | 1982年6月25日 1982年7月3日 |
上映時間 | 117分 |
製作国 | アメリカ |
言語 | 英語 |
制作費 | $28,000,000 |
allcinema | |
IMDb | |
(■テンプレート/■ノート) |
『ブレードランナー』(Blade Runner)は、1982年公開のアメリカ映画。フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作とし、その卓越した近未来描写から多くのファンをもつ。
目次 |
[編集] ストーリー
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
舞台は2019年、西洋と東洋の文化が入り乱れ、絶えず酸性雨が降り注ぐロサンゼルスに、過酷な開拓地である地球外基地から、男3人・女3人のレプリカント(強い肉体、開発者と同等の知能を持ち、人間とほとんど変わらない外見の人造人間)が脱走してきた。彼らの『解任』を依頼された“ブレードランナー”(レプリカントを見抜く事の出来る技術を身に着けた特殊捜査員)デッカード(ハリソン・フォード)は、社会に紛れ込んだ人間そっくりのレプリカントたちを追う。
[編集] キャスト
- リック・デッカード - ハリソン・フォード
- ロイ・バッティ - ルトガー・ハウアー
- レイチェル - ショーン・ヤング
- ガフ - エドワード・ジェームズ・オルモス
- ブライアン - M・エメット・ウォルシュ
- プリス - ダリル・ハンナ
- リオン - ブライオン・ジェームズ
- JF・セバスチャン - ウィリアム・サンダーソン
- スシマスター - ロバート・オカザキ
- エルドン・タイレル - ジョー・ターケル
ルトガー・ハウアー扮するレプリカント、ロイ・バッティは、主演のハリソン・フォードを喰う存在感を見せつけた。
[編集] 豆知識
[編集] 初期公開版とディレクターズ・カット
公開前にダラス・デンバーで観客の反応を見るために行われた試写でこの映画の世界観(サイバーパンクと呼ばれウィリアム・ギブスンが名づけたもの、後には映画のジャンルの一つとなる)が当時はまだ一般的ではなかったため観客に理解されず、「わかりにくい」「暗い」などと不評を買い、ヴォイス・オーバーによるナレーションの追加、エンディングのハッピーエンド化などを行ったバージョンが一般に公開されることとなる。当時のバージョンの最終シーンの空中撮影はスタンリー・キューブリックの『シャイニング』よりオープニングの別テイクを持ってきたものである。ヨーロッパで公開されたバージョンは、アメリカではカットされたシーン(主に暴力シーンの補足的映像。中でもロイがタイレル社長の目を潰すシーンは非常に残酷で、しかも痛みを観る側の想像力に委ねる映像では無いので、「最終版」では再びカットされている)も追加されるなどしていたため、後に日本でも完全版としてビデオ発売されている。公開後、カルト的に支持される映画となり、本作に影響を受けた作品も見られるようになるなどし、観客の嗜好も次第に変化を見せ、機が熟したと考えた監督により再編集されたディレクターズ・カット版(ビデオでは最終版)が1992年に公開された。
[編集] ロードショーとビデオ
日本では、ロードショー(封切り)では極端な不入りで、早々に上映が打ち切られた。「2020年、レプリカントが人類に宣戦布告!」という、スター・ウォーズ系SF映画を思わせる広告コピーであったため、マーケット関係者が来場せず、来場者は失望した、というような理由だと思われる。
しかしその後、ビデオが発売・レンタルにかかってからは記録的なセールスとなり、評価を確定した。「ロードショーでは不入りだった」という事情から、しばらくはカルト・ムービーであると思われていたふしもある。
[編集] デッカードブラスターとは
今日、本作品を語る上で重要な小道具として、デッカードが使用した架空の銃、通称「デッカードブラスター」がある。本銃は一介の小道具であるにもかかわらず公開後に一部のファンの間で評判となり、オフィシャルのグッズがリリースされなかった事により、数々のブラスター風ガレージキット、エアガンなどの玩具が制作されることになるが、 本アイテムはシド・ミードがデザインしたものではない。シド・ミードがデザインしたモデルは、極めて近未来である本作品の状況設定にそぐわず採用は見送られ、新たに造形されて劇中で使用された。
[編集] 高画質ネガフィルムの存在
通常、映画では35mmであるが、ブレードランナーでは70mmで撮影を行っていた事実が当時のスタッフにより語られている。 ダグラス・トランブル特殊効果スーパーバイザーの話(最終版リリースに関しての質問の答えとして) 「僕がBRでいちばん気になっているのは、ハード面のクオリティの問題だ。1982年公開版の仕上げのとき、映画会社側は出来るだけ早く、安く仕上げさせようとして、僕たちがつくった特殊レンズ---特に70mmの特殊効果を35mmのフィルムに合わせるための特別なレンズを使わなかったんだ。最初のプリントを観た時はゾッとしたよ。彼らの使ったレンズの質が悪すぎると思ったんだ。BRの視覚効果は、今までの誰もが見た事がないほど、すばらしいものなんだよ。本当は。それなのに、オリジナルネガは、いまだにどこかの屋根裏に置かれたまま。決して使われる事がないんだ。そりゃリドリーの「最終版」はすばらしいよ。でも、あの特殊レンズを使ったフィルムを観る事が出来たら....」(ビデオでーた1993 No.2) ブレードランナーほど夥しく編集の違いや画質によってのバージョン違いがリリースされている映画も稀だが、現在のところは全て会社側の意向で制作された35mmネガをマスターとしたメディアリリースにとどまっている。、
[編集] ブラックレイン
同監督の1989作品ブラックレインで松田優作演じるサトウがカフェで登場する際に恫喝しつつ目を剥くシーンがあるが。これはオーディションを受ける為の事前勉強としてブレードランナーを観た松田優作が、レオンコワルスキーとデッカードの格闘シーンでレオンが『思う様にならんのは辛いぞ』の台詞時の演技にインスパイアされたものとの指摘がある。
[編集] 大友克洋がインスパイアされAKIRAへ
1982年7月10日に日本劇場公開されたBLADE RUNNER。遅れる事5ヶ月後の1982年12月からヤング・マガジン 誌上にて連載開始をしたAKIRA。それまでの大友克洋の メカニックデザインとは明らかに違うディテール。金田バイクのディティールがそのままポリススピナーを連想させる。色もスピナーが青に対しての赤。アジアンチックで猥雑な近未来の、喧騒にあふれる町がそのまま描かれているようだ。テロリスト・ケイのコスチュームはそのままBLADE RUNNERで登場しているものと酷似。芸能山城組の印象深い和太鼓はBLADE RUNNERの冒頭のクレジットに流れる太鼓の音にオーバーラップする。際どい連載開始のタイミングから関連性を指摘する向きも少ないが。大友克洋がいかにこの映画から影響を受けたかがうかがい知れる。
[編集] 受賞
- 1983年度ヒューゴー賞 最優秀映像作品賞受賞
- 1983年度BAFTAアワード撮影賞・衣装デザイン賞・美術賞受賞、編集賞・メイク賞・作曲賞・音響賞・特殊視覚効果賞ノミネート
- 1983年度ロンドン映画批評家協会賞 特別業績賞受賞(L・G・ポール、D・トランブル、S・ミード)
- 1983年度ロサンゼルス映画批評家協会賞 最優秀撮影賞受賞
- 1983年度アカデミー賞 視覚効果賞・美術賞ノミネート
- 1982年度イギリス・撮影者協会賞ノミネート
- 1983年度・1993年度ファンタスポルト映画祭 ファンタジー作品賞ノミネート
- 1983年度ゴールデングローブ賞 作曲賞ノミネート
- 1983年度第14回星雲賞 映画演劇部門賞受賞。
[編集] 日本語吹替
- 1986年4月14日(月)TBS「月曜ロードショー」
- プロデューサー上田正人(TBS)
- 翻訳:岩本令
- 演出:河村常平
- 制作:東北新社・TBS
[編集] 参考文献
- 加藤幹郎『「ブレードランナー」論序説』筑摩書房 リュミエール叢書 ISBN 4-480-87315-5
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
カテゴリ: アメリカ合衆国の映画作品 | 1982年の映画 | リドリー・スコットの監督映画 | SF映画