ブルドーザー
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ブルドーザー(Bulldozer)とは、土砂のかきおこしや盛土、整地に用いる建設機械のことである。ブルドーザともいう。
トラクターの前面に可動式のブレード(排土板)を装着しており、進行方向に土砂を押しだす。中には後部に土砂や岩盤を掻き起こす爪(リッパ)を装着する車両もある。歴史は、1923年にアメリカ合衆国のカミングスとマクロードにより発明されたのが最初。黎明期のブルドーザーは車輪を用いていたが、後にキャタピラー社が無限軌道(クローラ)を装着した製品を生産するようになり、不整地で活躍する性質から無限軌道が一般的な形態となった。現在では、車輪を用いる機械をホイールドーザー、無限軌道を用いるものをブルドーザーとして分けている。現在、ブルドーザーを生産している主な会社は、アメリカのキャタピラー社と日本の小松製作所(コマツ)であり、2社で世界市場をほぼ寡占する状態となっている。
概して開発途上国ではブルドーザーの需要は高く、先進国では低い。
[編集] 特殊なブルドーザー
- ドーザーショベル
ブレードの代わりにバケットを装備したもので、土砂を盛ったりトラックに積み込んだりできる。
- トリミングドーザー
両面が使用可能なブレードを装備したもので、進行方向に土砂を押すだけでなく、バックしながら土砂を引き寄せることもできる。
- 水陸両用ブルドーザー
無線遠隔操縦によって、浚渫(しゅんせつ)船の出入りできない浅瀬や狭い水路での作業を行う。
- 水中ブルドーザー
ダイバーによる有線遠隔操縦によって海底を走行し、作業を行う。動力には電動モーターが使用されている。
[編集] 軍用ブルドーザー
イスラエル陸軍は米国キャタピラー社のタイプD9(en:Caterpillar D9を参照)のキャビン・エンジンその他を装甲し、機関銃・発煙弾投射機・擲弾発射機などを取り付けたものを多数保有し、新規入植地など紛争地帯で敵対勢力の立てこもる家屋を壊す一種の兵器として使用している。このため米国内ではD9のイスラエル向け輸出に対する反対運動が起きている。また、民間でも同様に装甲装着改造を施された小松製作所製のD335A型ブルドーザーで同様の事件(キルドーザー事件)も起こっている。