ファド
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ファドは、ユーラシア大陸の西の端、ポルトガルに生まれた民俗歌謡。ファドとは運命とか宿命とかという意味であり、このような意味の言葉で自分たちの民族歌謡を表す民族は珍しい。1820年代に生まれ、19世紀中ごろにリスボンのマリア・スヴェーラの歌によって現在の地位を得た。
イタリアにカンツォーネ、フランスにシャンソン、アルゼンチンにタンゴ、ブラジルにサンバがあるように、ポルトガルにはファドがある。主にCasa do Fadoと呼ばれるレストランなどで歌われる酒場の音楽で、ポルトガルギターとクラシック・ギター(にスチール弦を張ったもの)で伴奏される。
日本では、ファドは女性が歌うものとの認識が強いようだが、実際には性別に関係なく歌われている。また、ファドは暗く悲しいものだという誤解をもって紹介されることも多いが、本来ファドは陽気さを主とするものであり「大航海時代に帰らぬ船乗りたちを待つ女たちの歌」という起源説は、1974年まで続いた独裁政権の文化政策の中で作られたでっちあげである。アマリア・ロドリゲスが国民的歌手として知られる。
首都リスボンと中北部の中心都市コインブラでそれぞれ独特のファドが育まれ、コインブラのそれは学生たちのセレナーデとして存在している。日本でよく語られる「リスボンのファドは暗く、コインブラのファドは明るい」という説も、大きな誤解である。
[編集] ファド歌手
- 女性歌手
- アマリア・ロドリゲス
- ミージア
- マルガリーダ・ベッサ
- アレシャンドラ
- ドゥルス・ポンテス
- クリスティーナ・ブランコ
- 月田秀子
- 男性歌手
- カルロス・ド・カルモ