ピットロード
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ピットロード
ピットロード(PIT-ROAD)は艦船キットに定評がある日本の模型メーカーである。本社所在地は神奈川県川崎市高津区梶ヶ谷にあり、ショールーム兼直営店「ノースポート」は本社の1階にある。
なお、個人HPなどではPTと縮められることがある。これは、同社のマークはPiTの3文字のデザインだが、PとTが大きいためであると考えられる。
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[編集] 概要
ピットロードは主に艦船模型を主力として販売展開を行っているほか、1/700航空機など、独自の商品を開発、販売している。1/700というキットの出来に完成品の非常が大きく左右される模型において、シャープでカッチリとしたモールドは「ピットロードスタンダード」とも呼ばれ、評価が高い。主に旧ソ連、ロシア海軍、大戦後のアメリカ海軍のキットがそろうワールドモダンシップシリーズ、大戦期の帝国海軍とアメリカ海軍の軍用艦や輸送船をキット化しているワールドウォーシップシリーズが艦船模型で主力となっている。
なお、これらのピットロード製品は「スカイウェーブ(SKY WAVE)」と銘打っている。これは、過去にこの製品を製造販売していたグリーンマックスが使用していたブランド名であり、ピットロードに販売が移って20年ほど経過した現在でもそのまま使用している。
塗料の製造販売も行っており、主に自社製品に使用するための塗料を発売している。ただし塗料は一部販売終了品があるほか、販売数と利益率の割合が限界に近いと言う理由から、最低2本以上のセット販売のみとなっている。
近年、終戦のローレライといった映画作品や、アニメ「タクティカルロア」の護衛艦パスカルメイジを塗装済完成品として立体化している。また、昨今人気が高い、いわゆる食玩(ただし実際に食品が付いているものはない)の原型製作も行うなど、ある意味衰退が必至である模型業界においてパイの拡大に熱心である。
また、米ゴールドメダル社のディティールアップパーツを輸入販売しているほか、英ホワイトエンサインモデルズのキット(主に1/700航空機)を細々と輸入していたりもする。
しかし、熱心であるが故に他社との対立があるほか、マニア向け商品が多いために製品が高すぎるといった自社内の爆弾もあり、内憂外憂の状態ではある(詳しくは後述する「今後の課題」を参考されたし)。
[編集] 前史(1978~1984)
- 1978年夏、それまで鉄道模型のストラクチャーキットを中心に発売していたグリーンマックスが、フレッチャー級駆逐艦を皮切りにスカイウェーブシリーズと銘打って突如1/700の艦船・航空機キットの発売を開始する。
- グリーンマックスは市場に広く出回っていたウォーターラインシリーズとは非競合の方針を取り、米独英の高速魚雷艇やLST・独Z級駆逐艦といった艦船に加え、Uボートブンカーや海軍基地などのジオラマアクセサリー、航空機やAFVに至る多種多様でマニアックなラインナップを1/700で揃えてゆく。シャープでカッチリしたモールドとも相まってコアな艦船モデラーの支持を受ける。
[編集] 略歴(1985~)
- 1980年代前半、グリーンマックスは本体である鉄道模型部門の業績が一時的に悪化したのを契機に事業の整理を図り、スカイウェーブシリーズの販売権を経営者同士が縁戚関係である神奈川の模型店・ピットロード東名に譲渡する。そして、旧グリーンマックス製品は1985年冬よりピットロード(東名)名義で発売が再開され、また模型店はピットロード製品のショールーム兼直営店となる。以降、ピットロードはそれまでほとんどキットが無かった外国の大戦艦艇や現用艦を積極的に発売する。
- 1987年、艦船モデラーが長く待ち望んでいた、1/700日本海軍艦艇装備品の共通パーツセット(I)を発売する。メーカーによってバラバラだったウォーターラインの装備パーツを精巧に共通化させるキットとして人気を得た(当時カートン単位で買い占めた艦船モデラーもいたという)。
- 1990年、ショールーム兼直営店の名称を「デリックポスト」に改名する。
- 1993年、製品の金型をレンタル契約していた金型屋が経営危機に陥り、この際に金型が国内外に流失して外国艦艇のインジェクションキットの一部が生産中止に追い込まれる。護衛空母ボーグや独英の駆逐艦など田宮模型が買い取ってウォーターラインシリーズに組み入れたものや、上海ドラゴンモデルが買い取った金型もあるが、米インディペンデンス級軽空母のように所在が判らなくなってしまったものもある。
- 1994年12月、1/700で駆逐艦陽炎発売、これ以降ウォーターラインシリーズとの製品競合が本格化する。当初はウォーターラインの既製品をはるかにしのぐ超精巧で綺麗なモールドが高い人気を得る。
- しかし、1992年にフジミ模型が静岡模型教材共同組合を脱退し、残った3社がウォーターラインの欠けた製品群を補う形で新製品を発売、それは眠っていた潜在需要を掘り起こす形になり、やがてシリーズ初期に発売された日本艦旧製品のリメイクに発展する。リメイク製品の種類が増えるにつれてピットロードとの製品内容の差は急速に縮小し、逆にこれまでモデラーに容認されていた、割高な価格設定や外形の捉え方の悪さといった弱点が次第に大きく捉えられるようになってゆく。また、それまでウォーターラインと競合しなかった事から、静岡模型教材共同組合とピットロードとの関係は当初は良好であったが、この日本艦の製品競合の頃から次第に関係が悪化していったといわれる。
- 1999年、ショールーム兼直営店を横浜市都筑区に移転し、「ノースポート」と改名する(現在は梶ヶ谷に戻っている)。
- 2001年からは中国のトランペッターモデルと業務提携し、大型艦において、基本設計は日本、金型製作及び生産は中国で行い、日本国内はピットロードが販売し、海外販売はトランペッターが行うという形を取るキットが増えている。しかしながら従来製品と比較して内容にやや見劣りする部分もあり、かつての超精巧で綺麗なモールドを支持してきたモデラーからは不満の声もわずかながら出ているという(それでも品質は静岡3社と互角以上であるが)。なお、小型艦は従来どおりに国内生産である。
- 2005年2月頃に発売した1/72スケールのAFVキット(陸上自衛隊が保有する、または、していた戦車の模型)が、田宮模型がミリタリーミニチュアシリーズで発売したものを縮小コピーしたものであるとされる事件が主な原因で、2005年5月の静岡見本市にはWAVEと共に参加を拒否された(WAVEの子会社であるインターアライドは、トランペッターモデルが発売した製品を日本国内向けに輸入を行っているが、そのためといわれる)。
- 2005年、ショールーム兼直営店「ノースポート」が本社1階に移転する。
- 2006年、ノースポートが楽天商店に展開。
- 2006年 トランペッターモデルと共同で1/700アドミラル・クズネツォフ、1/700ニミッツ級航空母艦ニミッツを発売(同級リンカーンは現在開発中)。ニミッツは軍用艦としては世界最大の艦船であり、1/700スケールでもその巨大さから、有名な艦であるにもかかわらずキット化に恵まれない艦船であったが、初のキット化となった。
- 2006年5月の静岡見本市の参加をWAVEや(アカデミー社の正規代理店である)GSIクレオスと共に拒否された。理由は、一部を除く特定アジアの模型メーカーとの密接な関係が田宮俊作の気に障ったのが原因と言われている。
- 2006年8月21日付けで、米ゴールドメダルモデルズ製エッチングパーツの卸値を上げる。ピットロードの報告によれば、原材料の高騰が主な原因としている。
[編集] 今後の課題
ピットロードはコアな商品を数多くだしており、熱烈な客層が多いのが特徴である。しかし、それらの商品はおおむね販売数が少なくまとまる傾向が非常に強く(ロシアの巡洋艦であるモスクワや同国の空母アドミラル・クズネツォフと、日本海軍の戦艦である大和との、日本における知名度の違いを考えれば、それらは容易に想像できると思う)。そのため、商品価格が(静岡3社+フジミと比べて)非常に高いという問題点がある(ピットロード側の主張では、「この値段でも販売数X販売価格に対しての仕入原価の割合が、すでに限界利益を割り込んでいる」という)。ウォーターラインの新金型差し替えが活発になってきた今日、品質の面で(値段が安い)静岡3社らとの差が縮まっており、この価格問題は利益に直結する面でもあり、深刻な問題であろう。
また、新製品の発売予定の遅延も常態化している。近年ではニミッツ、リンカーンといった目玉モデルの遅延、さらには販売を公式に発表までしていた、小説「亡国のイージス」に登場した「いそかぜ」の開発停止など、製造業としての問題行動が多く、その面での不信は払拭できない状態である。ただ、最近では1/700ホーネットの発送予定日が1日早まるなど、努力はしているようである。
なお、食玩の原型など多角的な展開を模索しているものの、インジェクションキットはおおむねで尽くした感があり、新製品はやや目新しさに欠け、ニミッツなどの目玉商品、未キット化商品を続けて発売し続けることができるかが勝負。
今後、業界全体の売り上げ自体が飛躍的に延びる可能性は0に近いといえる模型業界において、パイの取り合いは深刻である。ピットロードは1994年に陽炎型を発売した。これは「静岡3社は日本艦、PTは外国艦(と静岡3社が出していない日本艦)。」という垣根をピットロードのほうから破っていったものであり、明らかにパイの拡大を狙っている。しかし、これは1/700日本艦のシェアをフジミとともに独占していた静岡3社に嫌われ、さらには中国の模型会社トランペッターとの業務提携は、同国ドラゴンモデルズとの関係が強い、重鎮タミヤの田宮俊作の怒りを買うなど、他の模型会社との溝が深まっている。「他業界が不思議な目で見るほど仲が良い」とまでいわれる模型業界において、今後ピットロードが協調路線をとるのか、対立路線をとるのかは模型業界の大きな争点であろう。
これらがピットロードが持っている問題点であり、2006年以降いかにこれらを解消していくかが大きな課題である。
[編集] 直営店ノースポート
ピットロードは、神奈川県川崎市に直営店「ノースポート」を経営している。また、この直営店を経由しての通信販売が可能となっている。なお、ノースポートは楽天商店にも出店しており、こちらからの通信販売も可能である。
なお、ピットロード社は、ランナー(プラスチックモデルのパーツが付いている物で、キット完成後はゴミとなる)の回収を行っており、回収はノースポートで受け付けている。ただし、中国生産品は回収対象ではなく、国内生産品のランナーのみである。しかし、わざわざゴミをノースポートに持っていかないといけないため、回収状況はあまり芳しくないようである。
[編集] 主要製品
- 1/700インジェクションキット
- 海上自衛艦シリーズ
- ワールドモダンシップシリーズ(現用艦艇)
- ワールドウォーシップシリーズ(大戦艦艇)
- 艦船装備セットシリーズ
- エアクラフトシリーズ
- 情景シリーズ(旧グリーンマックス製品)
- 1/35AFVインジェクションキット
- グランドアーマーシリーズ(G)
- 1/72AFVインジェクションキット
- グランドアーマーシリーズ(SG)
- レジンキット
- ハイモールドシリーズ(1/700艦船)
- スペシャルレジンキットシリーズ(旧作レジンキットの復刻版)
- コンバットサブマリンシリーズ(1/350潜水艦)
- ディープダイバーシリーズ(深海探査艇、深海大気潜水服)
- グランドフォースシリーズ(AFV)
- 1/700メタルキット
- メタルプレーンシリーズ
- ミニマムワールドシリーズ
- 本シリーズの中には、かつてグリーンマックスがインジェクションキットとして発売していた独米ソのAFVキットの複製メタル復刻版製品が含まれる。これらのキットはあまりにもモールドが繊細だったため、金型が早々に破損し、インジェクションでの再版は不可能になっているという。
- オリジナル塗料、エッチングパーツ、改造パーツ等
- 原型製作
- 世界の艦船(2003年、タカラ発売、14種類+シークレット、レア各1種)
- 世界の艦船Series02(2004年、タカラ発売、16種類+シークレット、レア各2種)
- 連斬模型 戦艦大和(2004年、タカラ発売、20種類+シークレット付属)
- 連斬模型 亡国のイージス 渥美バージョン(タカラ発売、5種類+シークレット1種類)
- 連斬模型 亡国のイージス 仙石バージョン(タカラ発売、5種類+シークレット1種類)
- 連斬模型 重巡洋艦矢矧(2006年、タカラ発売、9種類+シークレット3種類)
- 世界の艦船ローレライ(2005年、タカラ発売、8種類+シークレット、レア各1種)
- 世界の艦船Series03(2005年、タカラ発売、13種類+シークレット1種、レア2種)
- 世界の艦船Series04(2005年、タカラ発売、11種類+シークレット2種、レア1種)
- 世界の翼Series01(タカラ発売、13種類+シークレット2種)
- 世界の翼Series02(タカラ発売、13種類+シークレット2種)
[編集] 外部リンク
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