ビデオウォークマン
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ビデオウォークマン (VIDEO WALKMAN) とは、ソニーが製造・販売しているポータブルビデオデッキの商標である。
家庭用カムコーダのテープをカメラ本体を使わずに録画・再生できる製品として、当初8ミリビデオ用が発売された。その後Hi8用の機種も発売され、現在はminiDV用とDigital8用が生産・販売されている。
[編集] 経緯
8ミリビデオの製品化以来、家庭用カムコーダが急速に普及していったが、当初の製品は本体に大型モニターが搭載されていなかったため、旅先などのテレビがない環境では、撮影した映像はビューファインダーを覗き込まないと見ることができなかった。
そこでソニーは、ポータブルデッキを発売した。これはカメラのメカ部を使用し、これに操作パネルを組み合わせてデッキ形筐体に仕立てたもので、液晶モニターを接続することによってテレビがない場所でも撮影した映像を手軽に楽しめるようにと企画されたものであった。「ウォークマンの8ミリビデオ版」であるとして「ビデオウォークマン」という名称が付けられ、これが現在に至るまでシリーズ名となっている。その後、液晶モニターの低価格化や液晶駆動部の小型化などにより液晶モニター一体型の製品も発売され、またハンディカムの記録媒体の変遷に連動してHi8やminiDV、Digital8に対応したものが製品化された。接続して利用可能なCCDカメラやTVチューナーなども製品化されている。
[編集] 現状
後を追って松下電器や日本ビクターからも同様の商品がS-VHS-C規格で発売された。しかし、シャープから液晶ディスプレイ付きのビデオカメラ「液晶ビューカム」(8ミリビデオの項を参照)が発売されて以来、カメラ本体に3~5インチ級の大型モニタが標準搭載されるようになり、また編集用デッキとしては(カメラのメカ部をそのまま利用していることから)レスポンスや早送り・巻き戻しが遅いなどの使い勝手の悪さがあり、あまり普及したとは言いがたい。しかし液晶モニター付きビデオウォークマンのコンセプトは現在のポータブルDVDプレイヤーに受け継がれていることを考えれば、商業的に失敗だったとは必ずしも言い切れない。現在でも一定の需要はあるようで、現在もminiDV用やDigital8用の機種が細々とではあるが生産されている。小型で場所を取らず、かつ長時間記録できることから車の中や頭上へ取り付けるカメラとしてテレビ番組のロケで使用される事も多い。
主に家庭用として企画・開発されたが、まだDVDがなかった1990年代前半には寝台特急「北斗星」の車内でビデオウォークマンのレンタルが行われていたことがあった。航空機でも貨物機では荷物の関係で一般人が添乗する際に緊急時の説明用に、一部の航空会社では機内エンタテインメントシステムを搭載していない機材で優等クラスの乗客に貸し出している。