パニール
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パニール(ヒンディー語, ダリー語, ペルシア語:panīr پنیر पनीर)とは、インド、 イラン、アフガニスタンで一般的に使われるチーズのこと。または、そのチーズを主材料に作られた料理名。
インドとアフガニスタンでは、ミルク(乳脂肪分の多い水牛乳の場合が多い。他、牛乳など)を温め、レモンまたはライムの汁など酸性の液体でタンパク質および脂肪分を凝固させて乳精から分離したものをチェンナ(Chenna)と呼び、練って菓子などに用いる。このチェンナを押し固めたものがパニールである。外見は豆腐に似ている。インドでは、油で表面を揚げて用いることが多い。
アフガニスタンでは、球状に固めたパニールを「パニーレ・ホム(panīr-e khom)」と呼び、固める前に塩を加えたパニールは「パニーレ・ショウル(panīr-e shour)」と呼ぶ。アフガニスタンでは、パニールを料理に使うよりも干しぶどうと一緒に間食として食べることが多く、これを「キシュミシュ・パニール」(kishmish panīr)と呼ぶ。
イランでは、牛乳や山羊の乳から作るフェタチーズに似た製法のチーズのことをパニールと呼ぶ。ナンとパニールに二十日大根、青葱、コリアンダー、クレソン、タラゴン、ミント、バジルなどのハーブや生野菜を取り合わせたもの(「ナーノ・パニーロ・サブジ・ホールダン」(Nān-o panīr-o Sabzi-Khōrdan)という)は、イランの食卓には欠かせない(食べ方は、ナンにパニールをのばしてから野菜やハーブをのせて食べる)。
[編集] 参考文献
- Batmanglij, Najmieh. New Food of Life. Mage, Washington D. C., 2001.
- Devi, Yamuna. Lord Krishna's Cuisine. Dutton, New York, 1987.
- Saberi, Helen. Afghan Food and Cookery. Hippocrene, New York, 2000.