パエリャ
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パエリャ(paella )は、もともとはスペイン東部、バレンシア地方の郷土料理の1つ。日本では「パエリア」「パエリヤ」との呼称が浸透している。マドリード首都圏では「パエージャ」と発音する(以下、マドリード首都圏の発音も併記)。
パエリェラ/パエジェラと呼ばれる専用のパエリャ鍋(取っ手のある平底の浅くて丸いフライパン)で調理する米料理で、たっぷりの具を炒めて、米と水、黄色の色彩の元になるサフランを加えて炊き上げる。この際、日本のように蓋はせず(いわば具を蓋の代わりにする)、パスタのアルデンテ同様、米に僅かに芯が残るようにするのがコツで、鍋の底にはソカレット(socarrat おこげ)が出来るようにする。
スペインを代表する世界的に人気の料理の一つで、本場ではパエリャの祭りもあるが、アラブ起源である。西暦9世紀以後、バレンシアのイスラム教徒の間で作られてきた。
日本では魚介類を用いたものが一般的だが、オリジナルのバレンシア風パエリャ(paella valenciana)は本来ウサギ、鶏、カタツムリ、インゲン豆、パプリカと山の幸を中心に用いて作る。バレンシアの猟師が獲物を米と一緒に煮込んだのが始まりといわれる。
さらに、バルセロナを中心とするカタルーニャ地方では、米の代わりに極細のパスタを用いたフィデウア (fideua) あるいはフィデオス (fideos) と呼ばれる料理もある。
パエリャという名前にはカタルーニャ語でフライパンを意味する。しかしパエリアはカタルーニャ語を話さないスペイン人の間でポピュラーな料理になって意味が変わった。現在パエリアは「フライパン」というよりも料理の名前である。
パエリャを炊く人のことをパエリェラ/パエジェラ(paellera 女性形)またはパエリェロ/パエジェロ(paellero 男性形)と呼ぶ。