バスマティ
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バースマティー(英名 Basmati) (ヒンディー語: बासमती, ウルドゥー語:ﺑﺎﺳﻤﺘﻰ)とは、イネの品種の1つ。長粒種に属し、その繊細で優れた芳香は有名である。バースマティーという名称は、「香りの女王(Queen of Fragrance)」というヒンディー語に由来する。
バースマティーは、インドとパキスタンで何百年にも渡って栽培されてきた品種である。ヒマラヤ山麓で生産されるものが最高の品質であるとされている。なかでも、パキスタンから北インドのデへラードゥーン地方(Dehra Dun)にかけて栽培されるスーパー・バースマティーと呼ばれる優良品種は、バスマティの中でも最も優れた品種である。パトナー米という品種はバースマティーの近縁種であり、ビハール州パトナー近辺で栽培される。バースマティーから収穫された米で最も良いとされるのは、精米し販売されるまでに数年間の熟成期間を経たものとされる。米を長期保存するという考え方には、一般に含有水分の少ない米の方が調理がし易いという事実がこの背景にあるためである。
バースマティーの米粒は細長い形状で、調理工程においてさらに細長くなる。米粒は一つひとつしっかりとしており、調理しても粘り気が出ない。バースマティーは、白米として、あるいは玄米としても利用され、この調理に要する時間はおよそ20分程度である。含まれている澱粉(でんぷん)の比率が他の品種に比べて多いため、一般に調理前には洗い落とされる。調理前に30分から2時間程度のあいだ水につけておくと、米粒が砕けにくくなる。北インドでは、ビリヤーニー(Biryani)など米を用いたご馳走料理にはバースマティーが特に喜ばれる。
2000年、アメリカの一企業であるライステック社(リヒテンシュタインの本拠を置く RiceTec AG の子会社)は、バースマティーと半矮性長粒品種から作り出されたハイブリッド3品種の特許を獲得しようとした。当時のインド政府がそれに反対したため、その特許は認可されなかった。一方、欧州委員会では、原産地保護名称法の下にバースマティーをその地域の特産物として保護することで合意に達した。
バースマティーには、多数の亜種が存在する。バースマティー-370やバースマティー-385、バースマティー・ラーナービールプラ(Basmati-Ranabirpura)といった伝統的な品種以外に、プーサー・バースマティー 1(Pusa Basamti 1)(この品種の花には芒(のぎ)があるため、トーダル(Todal)とも呼ぶ)というハイブリッド品種が存在する。芳香のある品種はバースマティー系統から作出されたものであるが、PB2 (sugandh-2)や PB3、RH-10 という品種は純粋なバースマティーの系統ではないとされている。
バースマティー本来の植物としての特徴として、茎は長くかつ細く、強風で倒伏しやすい。総じて収量が低いが、収穫された米の品質が優れているため、インド国内だけでなく世界的にも高額で取り引きされる。
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[編集] 参考文献
Alford, Jeffrey; en:Naomi Duguid (1998).Seductions of Rice. New York: Artisan. ISBN 1-57965-113-5.